デッドライジング

2006年9月28日発売/カプコン/92点

 いいやっほう! モテモテだぜ〜ッ!
 いやもう、振り払うのが大変です! もみくちゃです! 「ラブひな」も「花右京メイド隊」も真っ青のモテっぷりです! 正直な話、自分の生涯でこんなに一度に大量に言い寄られる日がこようとは思ってもいませんでした!

 ゾンビにな。

 ……おや、なぜ私の目からは涙が溢れていますか?

 本作は、大量のゾンビによって占拠されたショッピングモールにおいて、真実を追い求めるジャーナリストとなって72時間のタイムリミットを生き延びるアクションゲーム。全てのイベントがリアルタイムで進行し、自分の選択した行動によってエンディングが分岐します。

 いやもう何て言うか、ありとあらゆる意味で無茶だわ。
 日本海で大量発生したエチゼンクラゲの如く、目の前に存在するもの全てゾンビゾンビゾンビ。それを打ち倒し砕きブッ飛ばす様はスプラッタの大安売り。もう「怖い」とかいう感情を通り越して、ひたすら笑えます。
 生存者を助けるのも真実を追い求めるのも、ゾンビをひたすら狩り続けるのも自由自在。発売前の宣伝文句にあったほど「何でもかんでも武器になる」ということはありませんが、それでもフライパンやらドリル、薄型テレビ、芝刈り機まで、色んなものでゾンビに対抗できます。ドリルなんて最後は肉塊だよオイ!
 画面中を覆い尽くすゾンビの群れのド真ん中でジャイアントスウィングをブッ放してまとめて一掃、なんて無茶も可能です(大抵、直後にはやられるけど)。

 とにかく、ゲーム全体を通して余裕なんざありゃしません。ゾンビを倒し、生存者を助け、ボス(これまた「銃夢」もびっくりのサイコ野郎揃いで素晴らしい)を倒し、出来ることは山のようにあります。
 まず最初の操作に慣れるのが大変で、その次にこの忙しさを克服することが大変で、しかも難易度もかなり高いですが、それを乗り越えてこそ、この笑えるほどのスプラッタのバーゲンセールを楽しめるってモンです。
 舞台になるショッピングモールは非常に広く、イベントやシナリオも用意されていますが、完全に無視して72時間を過ごすことも可能です。

 難点を挙げるとすれば、テキストが異常に潰れて読みづらいことと、攻撃ボタンと回復アイテムの使用ボタンが同じで、連打していると勝手に武器が壊れて勝手に回復アイテムを使ってしまうのが少々厄介なこと。生存者(NPC)が軒並み頭が悪くて、自分から死に急いでくれることくらいかな。
 あと、セーブを小まめにしておかないと、死んだ時に即座にオープニングに戻されてしまうのが難点といば難点。

 あえて言いますがこのゲーム、プレイするなら北米版の方がいいです。日本語版は上で書いた残酷描写がことごとく削られている為、はっきり言って怖いんですが、あまり笑えません。
 こういうゲームにしては珍しく本作はリージョンフリーなので、北米版でも日本の360で遊べます。もともと文字が小さく潰れて非常に読みづらいゲームなので、英語でも大して気になりません。
 女ゾンビが男性の(ピー)を食いちぎって美味そうに喰う、ゾンビの腹に手ぇツッコンで内蔵を引きずり出す、なんて表現は、日本では天地がひっくり返っても不可能でしょうね。
 逆に言えば、そういう表現が苦手な方と、現実とゲームの区別がつかない病気の方、あと当然ながら18歳未満の方は、北米版は(未成年は日本語版も)やらないほうがいいです。
 他の同ジャンルのゲームにも言えることですが、確かにゾンビを残虐に狩り尽くす快感は一度ハマってしまうと病み付きになります。しかしこの面白さは、しっかりと分別のつく大人の人向けの面白さです。
 確かに日本のゲームの規制の方法には問題も多いですが、なんの根拠も無くやっているわけではありませんので、レーティングには素直に従いましょうね。

 ……いや、他のゲームだとこんなことはまず言わないんだけど、このゲームはなにがなんでもヤバすぎるので……。

(2006.10.04)