コンデムド サイコクライム

2006年8月31日発売/セガ/79点

 モノリス社開発の、サイコスリラー撲殺アクション。
 アメリカの方では大ヒットを飛ばしたそうで、なるほど、言われてみれば海の向こうの方々が好きそうなシチュエーション(なんだそりゃ)。

 主人公はFBIの捜査官イーサン・トーマス。
 いわゆる「超能力捜査官」として活躍していた彼は、警察官殺害の容疑者として追われる立場になります。自分の能力と支援者を頼りに真犯人を追っていくわけですが、その真犯人は正体不明の邪悪な存在。生きた人間を死体兵器に変えてしまうその存在を相手に、イーサンは無実を証明できるのか?

 とにもかくにも、グラフィックにおけるマシンパワーの進化が凄いと何度も書きましたが、本作でもそれをいかんなく発揮。残酷というよりはひたすらダークな世界観で、廃屋や廃ビル、廃人などを、凄まじい描写力で汚らしく描いていて(褒め言葉)、雰囲気は満点ですよ。敵を殴ったときの感触やリアクション、音声も絶妙にリアルで、非常にイヤだ(笑)。
 倒すべき敵が、精神的に壊れてはいるものの普通の(?)人間なので、最初の方はちょっとやり辛さを感じてしまいますが、ラストの方になるともう正真正銘のモンスターばかりになるので安心。
 FPSでは珍しく、銃器ではなく角材や鉄パイプなどの「撲殺・打撃系の武器」が多いのも特徴で、普段銃なんぞ撃ったこともない身としては、銃器が武器のゲームよりもよほど身近なダークさを感じます。
 惜しむらくは、ちょっとスタンガンが強すぎることかな。使用制限がないシロモノなので、麻痺させてから撲殺すれば大抵の場面は切り抜けられます。これ一品のお陰で難易度は確実に下がっているでしょうね。

 ゲーム全体に言えることなんですが、「残酷さ」というのはあまり感じられません。どちらかというと「驚愕」が主体かな。
 前述の殴った時の敵の反応や、要所要所で出てくる恐怖の魅せ方なんかは非常に上手いです(血塗れのシャワー室や人体分解ショーなんかはホントに怖い)。が、スタンガンがあるお陰で戦闘の難度が高くないので、「死体兵器」の怖さも半減なのが残念(それでもレーティングD評価はありえんと思うが)。
 謎解きも難度は低く、基本的に「捜査キットを使え」と「特定の武器を使い、道を切り開け」の2パターンのみで進めます。どちらかというとストーリーや演出を堪能するおまけにアクションがついている、といった印象です。「ストーリーの雰囲気」もバトルもレベルは非常に高いので、その辺は気にならないけどね。

 ただ、セリフが全部英語で吹き替えがないのに、日本語の字幕が壊れまくってて異常に読みづらく、ストーリーそのものの内容がかなり解りづらかったです。「ストーリーの雰囲気」と表現したのはそのためで、この辺が惜しいなぁ。素直に吹き替えを入れればよかったのに……。

(2006.10.01)