ザ・コンビニ200X

2006年3月30日発売/ハムスター/78点

 現実になにかを経営・運営する、ということは、非常に知識・体力・精神力がいることです。
 ゲームの世界でも、「できる!ゲームセンター」とか「キング・オブ・プロデューサー」とか、ゲームの内容は景気がいいのに、実際の世界では撤退だの合併だの倒産だの、どこもかしこも大変で、楽なとこなんてありゃしません。
 で、そのうち「セガガガ」なんてネタだと笑えばいいのか真剣に楽しめばいいのか判断がつかないゲームまで出てくる始末で、そのエンターテイナーなところは如何にもセガらしくて微笑ましくていいのですが、経営的にはシャレにならなくなっちゃいましたね、結局。

 育成系のシミュレーションが、女の子から妖精、ロボットからV6にいたるまで、あらゆるものを育てられるようになりましたが、いわゆる経営系のシミュレーションは、題材にできるテーマが少ないんじゃないかとふと思ってしまいますが、決してそんなわけではなく、大御所であるシム・シティからこっち、ゲームセンターからゲームメーカーとか、一部は美少女系のアドベンチャーなんかとくっついて、けっこう色んなジャンル経営できます。
 本作はその中でもど真ん中のスタンダード、コンビニの経営を体験。
(9月現在)最新機種のXbox360版であるにも関わらず、一ヶ月遅れで発売されたPS2版に圧倒的にグラフィックで負けているのがなんとなく涙を誘いますが、実はプログラムの思考ルーチンの多様さや演算の速度は360版のほうが圧倒的に上で、PS2版よりもシミュレーションとして楽しめるデキとなっております。

 ここら、ショボいグラフィックでお涙頂戴な、自虐系必殺マーケティングなのかと一瞬でも疑った自分をとりあえず山中に埋めといて。

 PS2版と違ってタイアップはありませんが、ライバルチェーンが二社に増え、手応えも倍増。なにせ、客である市民一人ひとりが全く違う思考ルーチンで動く(実に五万人ぶんの思考を同時に処理可能)ってんだから、実はこれ以上生々しい「リアル」もそうはないと思います。
 コンビニを建てる立地を決定したら、いよいよ経営開始。ここら、立地や時間、天気や客層によって仕入れを変えなきゃいけないんですが、前述の「客ごとの思考の細かさ」が異常に凝ってて、ホイコラと簡単に売り上げは伸びません。
 学生狙いで発注かけてんのに、誰がそんなとこで工事を始めてるかオラ!
 更に、コンビニ単店での営業ではなく、ガソリンスタンドや神社、温泉などと併設しての経営も可能。よくガソリンスタンドの中にコンビニがある店がありますが、まったくあんな感じです。これら併設店舗の売り上げも、自分のコンビニの売り上げに上乗せでき、また併設店舗の種類によって便乗で売れる商品があるので、ウハウハ。レイアウトするのは難しくも楽しく、こちとら勤め先で商品の発注を担当してた時期もありますんで、思わず力入れてしまいました。
 それで現実より凹んでちゃ、シャレになりませんケド。

 Xboxライブで、売り上げや来客数のハイスコアを登録することもでき、意外とこのスコアアタックも燃えたりします。
 決してカイジがバイトに来たり、いきなりトラックが突っ込んできて黒服が銃を乱射するようなバイオレンスな展開はありませんが、箱庭世界での社会の中で喜怒哀楽をリアルに体験したい人には、いいゲームかもしれません。

(2006.09.14)