コール・オブ・デューティ モダン・ウォーフェア2

2009年11月30日発売/スクウェア・エニックス/79点

 全世界で1400万本を売り上げたお化けソフト「コール・オブ・デューティ4 モダン・ウォーフェア」の続編。
 オフラインが面白いけどややボリューム不足、オンラインがボリュームがありすぎてバランス完全崩壊という、もんのすごい極端なゲーム。

 総じて難易度の高い印象のあるFPSというジャンルですが、オフラインでは感覚的に制限時間が長くなり、味方が前に出てきて攻撃してくれる機会が増えたので、一部に鬼のようなキャンペーンがあった前作に比べればちょっと簡単になった気もします。
 そのかわり、体力の回復が遅くなり、(FPSなのに)敵に回り込まれて忍殺されることがやたらと増えた(敵の格闘スキルがやたら高くなり、殴り殺されやすくなった)など、地味にストレスがたまる仕様は勘弁して欲しかったけど。

 かなりエキセントリックな人物が多く、ストーリーそのものは凄く面白いんですが、外国人がコンサイス片手にシナリオを翻訳したのか、とにかく日本語化がエキサイト翻訳なみにフリーダムなせいで、一番肝心なところでラスボスの行動にワケわからんところがあったり、続編の製作が前提で作られたのか、微妙に完結してないところもあって、少々不完全燃焼気味。

 グラフィックは前作よりもさらに美しくなり、武器の数も大幅増量、野心的なアタッチメントの追加、演出も臨場感抜群と、やる気は物凄く伝わってきます。スペシャルオプスもかなりイケてます。
 それだけに、前述の誤訳・誤字や、ステージの数が前作よりも減っているなどの不満点が、非常に残念。
 あと、規制の仕方も間違えてる(特に空港でのミッションは閉口。「民間人を殺せ」と言われて殺してみたらミッション失敗。なんで!? 原因が分かるまで数時間かかった)。
 プレイヤーがFPS(というかCOD)に何を求めるか、で、このあたりの評価が大幅に変わりそうですね。

 オンラインのほうは、まず思ったのがマップの違和感。
 広くなった、というよりも、かなり複雑になった、という印象。前作で言うチャイナタウンみたいな、建物が多いマップがやたら増えました。
 建物が多い=隠れる場所が多い、というわけで、前線に躍り出て強力兵器でイヤッホーウ! というトリガーハッピープレイよりも、待って篭って確実に獲物をハント! というアリジゴクプレイがかなり強力(でも地味)。
 冗談でもなんでもなく、何気なく躍り出てみたらいきなりブッ殺される、というシーンは毎日のように目にします。そりゃあそういう仕様なんだし、わざわざしゃがんでるガイルに飛び込むほうが悪いといえば悪いんですが、ぶっちゃけ待ちガイル多すぎ。
 サブ武器にショットガンとかかなり強力な武器を持てるようになったのも、待ちプレイが増える要因だったかもなあ。
 武器のカスタマイズの幅がめちゃくちゃ広く、わりと好き勝手に設定できるんですが、どうしても待ちプレイ用に設定しまい、ときどき意味があるんだか無いんだか分からなくなります。
 またキルストリークによるボーナスも相変わらず極端で、核兵器(試合が強制的に終わる、FPSとは思えぬ最狂の一品)を狙って待ちプレイしてる人が多く、正直、初心者はなんにもできずに殺されっぱなしになってしまうこともしばしば。

 総じて面白い一品ですが、確実に言えることは、「前作をプレイしてない方が絶対に楽しめる」ということ。
 職人的な気質でバランス調整がなされていた前作ですが、様々なプレイヤーの様々な要求に意欲的に応じて、色々と突っ込んでみた結果、陸奥九十九がビーム技を撃ちまくる「修羅の門2」というか、明らかに別物になっちゃいました。
「コール・オブ・デューティ4 モダン・ウォーフェア」の続編だ、と気合を入れれば入れるほど、衝撃も大きいはず。そのあたり、注意が必要です。