風雲黙示録 格闘創世

1995年5月26日発売/SNK/23点

 濃ゆ!! とにかく濃ゆ!!

 本作は、漢なゲームが多い対戦格闘というジャンルの中でも、際立って漢度の高いゲームです。
 どれくらい濃いかというと、例えば格闘ゲームをやったことがない女性なら、オープニングを見ただけで妊娠してしまいそうなほど濃いです。

 まずはオープニング。

「風雲拳。それは、実戦空手道とブーメランを組み合わせたまったく新しい格闘技……。
 そしてこの若者の名はハヤテ 風雲拳の奥義をきわめた男だ
 今、最強の獅子にいどむ!」

 そして、背景にて笑うラスボス、真・獅子王に挑戦するようにブーメランを掲げて「おおおおおおおおおっ!」と雄叫びを上げる主人公、ショー・疾風。
 いや、この雄叫びがホントにやかましい。ゲーセンでプレイなぞしようものなら、目立つこと確実である。

 しかし……。
 カラテ+ブーメラン?? (;´д`)??
 そう、ブーメランだの斧だの爪だの新体操のボールだの、戦士たちが武器と格闘術をあわせた各々の けったいな 特徴的なスタイルで闘うのが、このゲームのルール。
 まぁ、カラテ+ブーメランの風雲拳も充分ヘンですが、我らがラスボス、真・獅子王の前ではそれすら霞みます。

 中世の鎧 + ロングソード + ボクシンググローブ( + タキシード仮面風マスク)。

 それはまさに、カツ丼と、親子丼と、うな重を混ぜこぜにして、すべて台無しにしてしまったが如き強烈なインパクトですが、怪しいマスクでそのインパクトは更に倍増。どこからどう見ても立派な変態さんです。
「餓狼伝説スペシャル」のウォルフガング・クラウザーを、さらに20倍怪しくしたらこうなります。


アースチョパー!!

(ちなみにこの獅子王、「ネオジオ・バトルコロシアム」というゲームに出場した折は、ボクシンググローブを流行のオープンフィンガーグローブに変えており、一部のファンからチキン呼ばわりされてましたな)

風雲ネオバト
アースチョパー!!

 どうでもいいんだけど、獅子王のやられボイスって、どう聞いてもAV男優の絶頂の瞬間の声に(以下略)。
 獅子王(CV.ビリー・へリント(以下略)。

 そして、問題のグラフィック。
 これがまたアメコミ調に描きこんであり、正直、長時間見続けるのは辛いです。
 特に、唯一の女性キャラクターであるキャロル・スタンザックが壊滅的に可愛くない。バストアップを見る限り、どう見ても20代後半なんですが、プロフィールでは19歳になってるから実際はそうなんでしょう。
 確実に自己申告制だと思われますけど。


ローディング画面じゃそれなりに見れるんだが。


心配しなくても、口にしませんっ


あれはパンティとは認めねえええええ。

 またこのゲーム、KO時に所謂「脱衣KO」が用意されているのですが、よりによって唯一の女性キャラ(しつこい)キャロルだけが脱ぎません。
 まぁ、キャロルは 可愛くないから脱いでも別に嬉しくない 新体操と合気道を合体させた格闘技で闘うわけで、衣装もそれに合わせて下半身薄めだから脱がないのも解らないでもないのですが、だからってマッチョな男ばかり気合を入れて脱がせるというのもどうなのよ、SNK。

 肝心のゲーム内容のほうなんですが……、これも正直辛いです。
 食らい中ののけぞりポーズに短時間の無敵判定があるらしく、同じ連続技でも入ったり入らなかったりするので、なかなか安定してダメージを与えられません。
 また、本作は2ライン制を導入しています。普通「2ラインバトル」と聞くと、餓狼伝説シリーズ等の前ラインと奥ラインの2ラインを想像しそうですが、本作の2ラインは、よりによって上下です。
 ただの固定画面のアクションゲームと化しておる……。

 どこもかしこもツッコミどころ多彩なこのゲーム。対戦ツールとしては機能せず、CPUも超反応が当たり前で、なかなかムカツけます。
 結局、ゲーム内容がポシャッてて、その濃さだけが伝説になってしまった感じ。
 ああ、一作目がこうじゃなきゃ、それなりに遊べる続編(ホントに出た)がもうちょっと売れたかもしれないと思うと、ちょっとだけ残念です。