この世の果てで恋を歌う少女 YU-NO

1997年12月4日発売/イマジニア/83点

 前出「EVE -burst error-」のシナリオを書いた剣乃ゆきひろ(現・菅野ひろゆき)氏が、エルフに移籍して出した名作ADV。

 シーズウェアでは余裕を与えられず実現不可能だった、菅野氏考案の壮大なシステムを実現した意欲作であり、SF、物理、数学、哲学、歴史、宗教、オカルト、果ては近親相姦からカニバリズムに至るまで、あらゆる要素をぶち込みながら破綻させないという物凄い完成度を誇る一品です。

 それだけに、斬新なシステムと物凄い裏設定を詰め込みながら、結局は前半の現代編が主要パートになってしまい、後半、本来は目玉になるはずだったテラ・グランド編がおまけみたいになってしまったのは非常に残念。

 私は西村ちなみさんが声をあてている(しかも超脇役)という理由で買ったものの、前半の並列世界でのマルチシナリオはかなり楽しんでプレイしましたが、後半いきなり普通のコマンド選択式のアドベンチャーになってしまい、ちょっと肩透かしを食らってしまいました。
 いや、それでも名作なんだけれども。

 ストーリーの途中で語られる設定や仮説の数々が非常に複雑で難解なため、複数回のプレイは大前提。
 また本作独特のマルチシナリオシステム「A.D.M.S」は非常に魅力的ながら、考えてセーブしてストーリーを進めないと本当に膨大な時間がかかるため、ちょっとやそっとの気合ではすぐ弾かれます。

 ややこしいゲームが大好きな人にはたまらないゲームですが、サクッと楽しめるゲームが好きな人にはちょっと辛いかも。

 あと、ゲームとはちょっと離れるけど、まりお金田さんの描いたオフィシャルコミックが激ラブリー♪だったことも、評価に密かに影響大です。

 剣乃ゆきひろ+西村ちなみ+まりお金田。

 ガード不能の『萌え』のカタマリ(笑)

 ちなみに菅野さん、良好に見えたエルフとこの後袂を分かち、PSで「エクソダス・ギルティー」やったり、PCのエロに戻って「プレゼント・プレイ」のシナリオ書いたりしてますが、どうもパッとしてない印象。
 PS2版の「ミステリート」って、やってないけどどうなんでしょう?

(2006.11.20)