ストリートファイター REAL BATTLE ON FILM

1995年8月11日発売/カプコン/52点

 アーケード版の異常人気から、「これ、金だけ騙し取られたんじゃねぇの?」と酷評されるようなデキながら、ハリウッドで実写映画化もされた大ヒット作「ストリート・ファイターU」。

 本作は、その実写映画版「ストリート・ファイター」の逆ゲーム化作品です。
 もう、こういう成り立ちを聞いただけでアンテナにビンビン来るのが、バカゲー愛好家の救われざる一面なのですが、これだけは仕方がありません。
 なにより、本作はその嗜好を完璧に満足させる、非常に稀有なタイトルなのです。

 さて、デキが云々とよく言われる映画ですが、主人公ガイルにジャン・クロード・ヴァン=ダム、ラスボス・バイソン将軍(日本版で言うベガ)にラウル・ジュリアと、かなり豪華なキャストです。
(ちなみに、ラウル・ジュリアは、本作が遺作となりました)

 そのほかにも、ただのアジア人女性・春麗、予想を覆す(というか予想不可能だった)ダルシム「博士」、ダルシム博士に改造されたという違和感炸裂な設定のナマハゲアメリカン・ブランカ、異様に似ているザンギなども登場していますが、これを書くために再プレイするまで、ザンギ以外は記憶の彼方にスッ飛んでましたな、はっはっはっ。

 しかし、思わず『モータル・コンバット』と間違えそうな実写取り込みである、このゲーム版の真の主人公は残念ながらヴァン=ダム演ずるガイルではありません。誰もが認める真の主人公は、映画のオリジナルキャラとして登場した日本人「キャプテン・サワダ」です。

 日本版の主人公ながらただの脇役になってしまったリュウ・ホシ(ハリウッド版のオリジナル苗字)と違い、彼は現代の日本人が半世紀前に忘れ去った日本男児の生き様を、20世紀末に正に体現する男なのです。
 それは、「百殺イズナ切り」「獄殺自爆陣」「沢田スペシャル'95」「忍法神隠し」「カミカゼアタック」という、勇ましい彼の必殺技名を見るだけでも明らか。
 ワープ技である神隠しは忍法ではなく怪奇現象では?とも思うのですが、スーパーコンボ(超必殺技)である「カミカゼアタック」のコマンドを入力すると、スーパーアーマー能力と判定の大きさにまかせてダメージを食らいながらも突撃を敢行するような彼ですから、細かいことは気にしてはいけないのかもしれません。
 もっとも、同時に

ハラキリでを飛び散らせる命がけの大技。当たった敵を転ばせることが可能だ。(獄殺自爆陣の説明。原文ママ)」

 と、命に関わる大事を爽やかに言い放つ彼ですから、常識すら気にしてはいけないのかもしれませんが。
 いまどき、相手を転ばせるために、わざわざ自分の腹を切ることのできる日本人が、いったい何人居ることでしょうか。

 ちなみにこのゲーム、セガサターンで一番最初に出た モータル・コンバット ストリート・ファイターシリーズでして、他にソフトがなかったサターンユーザーの「ストU」ファンは、已む無くこれに手を出さざるを得なかったという、随分とカルマの深いタイトルであります。
 あ、ちなみに、ダルシム「博士」はゲーム未登場です。さすがに、実写取り込みで手足を伸ばすような暴挙に出るほど、カプコンも思い切れなかった御様子。