恋のサマーファンタジー イン 宮崎シーガイア

1997年8月22日発売/バンダイビジュアル/39点

 皆さん、デートしてますか?
 恋愛というのは人生に欠かせぬもので、幾ら独り身の天国を文学的に語ってみたところで独り身の悲しさ、彼女持ち・彼氏持ちが羨ましいという心境は、大抵心の奥にあるもの。独り身の時に解らなかったことが、恋人を作って三日でわかるなんてこともあります。
 さりとて異性に話しかけられない奥手な少年や、そんな次元すら超越して二次元の中の異性にしか心ときめかなくなってしまった大きな少年もいます。世の中とはよくしたもので、ちゃんとそんな人向けのゲームも探せばあるもんです。
 たまには、意外な相手と廃墟でデートしてみないかボーイ?

 さて、世の中には「なんでそんな組み合わせで売ろうと思ったの?」と思えるものが少なからずあります。映画ではエド・ウッド+A・C・スティーヴンという内容以上にスタッフが異常な組み合わせで、存在そのものがホラーになってしまった「死霊の盆踊り」なんてものがありますが、本作は本来の内容とはまったく違うところで、そういった「ワビサビ」をこれでもかと体感することが出来る一本です。

 内容はタイトルからおおまかに察することが出来ると思いますが、人気アイドルとバーチャルデートを楽しむという、ファンにとってはたまらないもの。
 で、そのデートの場所というのが、宮崎シーガイア。日本最大級のリゾート施設としてオープンしたものの、わずか6年半で約3300億円という、第三セクター運営としては過去最悪規模の巨額赤字を出して倒産した“あの”宮崎シーガイアです。この時点で既に線香の一本でも上げたい気分になってしまいます。

 そして、デートのお相手となるアイドルは、奥菜恵(当時17歳)。……シーガイアと同列にしてこの人に線香あげるのも可哀想な気もしますが、この人も、猥褻な写真が出回ってみたり、結婚後1年半で離婚してみたりと波乱の人生ではあります。

 宮崎シーガイア+奥菜恵。ゲームの二本柱にこの組み合わせというのも、なかなかさっぱりとは言い切れないなにか山田洋次的なものを感じてしまいそうです。
 すいません、適当に言いました。

 そのシーガイアのプールで奥菜恵と会話を楽しみながら、デート漬けの四日間を過ごすわけですが、これがまた微妙に中途半端というか、奥菜の好みと思考回路がよくわかりません。
 一応なりともゲームの体裁を保つためか、四つのパラメーターがあるんですが、その変動っぷりに、デートとは全く関係ないところでドキドキ。残念ながらムービーの質は余りよくなく、とりたてて奥菜のファンでもない身としては止め絵でも全然OKなんですが、本当にそれやると暴動を起こすファンとかいるんでしょうね、たぶん。
 いくらシーガイアが広くても、さすがに四日間はちょっと胃にもたれました。いっそ、一日にして内容を詰め込んだほうがよかったかも。

 ちなみにハッピーエンドを迎えると、奥菜を部屋に連れ込めます。このあと、(真偽はともかく)10年後に報道されたようなイベントの一つでもあれば、本作の売り上げは10倍になっていたかもしれません。

 あと、本当にどうでもいいんですけど、「パーフィットプロダクション」の奥菜恵の紹介ページ(削除済み?)、もっとマシな写真はありませんでしたか?

(2007.02.07)