フリートークスタジオ マリのきままなおしゃべり

1997年5月9日発売/メディア・エンターテインメント/77点

 ラジオ番組を丸々一本投げられた新人アナウンサー香坂マリとなって、常軌を逸したゲストたちを相手に孤軍奮闘しながら、なんとか四週四回の放送を無事に終えるのが目的のシミュレーション。

 ラジオ番組制作、というのが斬新でいいものの、内容はコミカルで、とにかくスタッフが嫌がらせで選んだとしか思えないゲストの方々がめちゃくちゃ強烈で、いかになんでも気まますぎる。

 わがまま放題の人気アイドル「円城寺みゆ」は、最初は新人の主人公を見下しています。そのやんちゃ発言にこちらも冷静なツッコミで対処していると(選択肢によるけど)、当然ながら徐々に空気が険悪になっていきます。あからさまに嫌な予感がしていると、番組の最中にみゆがブチ切れ! 放送局の番組出演を全てキャンセルする!とか言い出します。
 しかし、そこは大人の主人公、冷静で暖かな言葉でみゆを説得・納得させ、最終的には彼女に大人の階段を一歩昇らせることに成功します。生放送中のド修羅場→説得による和解→大団円と、まさしく伝説の放送にふさわしい内容。

 オカルト作家「御子神依子」は本当に霊能力があるらしく、本番中に心霊現象を引き起こすわ、降霊をし始めるわ、幽霊講座が始まるわ、こちらもやりたい放題。
 しかし面白いのは、放送事故直前(ゲスト自身がもう放送事故レベルの存在だが)のイベントが適度に起こったほうが聴取率のアップに繋がる、ということ。しかし、ゲストのやりたい放題にさせると逆に聴取率が下がってしまうのが難しいところで、選択肢を一つ間違えると、聴取率下がりまくりで、あっという間に番組を切られてしまいます。

 そして本作最強の モンスター ゲスト「ナナシー比留間」。
 精神系の病院から来たんじゃないかと思えるほど、とにかく「アート」が生きがいで、異常にアッパーテンションなこのお方。

 セリフの全てが電波系名台詞といっても過言ではなく、最初から意味不明の挨拶で始まったかと思えば、「我々のいるこの空間をアァァァァトで埋め尽くすのよぉぉぉ」「おほっ!おほっ!おおおおおほほほほほほほほほほっ!!」と、ドーパミン出まくりで大暴走、もう番組を「アート」尽くしでめちゃくちゃにしてくれます。
 もちろん、彼女の感性の赴くままに暴走しまくったほうが番組的には面白いんですが、聴取率は最低に(笑)。

 面白さ重視で暴走するか、番組進行優先で堅実に行くかで、ゲームの面白さもラジオ聴取率も全然変わってきます。
 前者優先だとあっという間にゲームオーバーになるので注意。
 常識と狂気のキワキワのバランスが大切。

 声優ブームが巻き起こった直後くらいに出たこのゲーム。
 なんといっても、これらの変人ゲストがみんなフルボイスなのが凄いところで、ナナシー比留間ひとりのおかげで、ゲーム全体のテンションがえらいことになってます。

 ゲストの機嫌をとるのも番組の重要なファクターですので、頑張って伝説の放送を目指しましょう。

(2008.08.20)