EVE -The Lost One-

1998年3月12日発売/イマジニア/0点

 管理人はこのタイトルの前作の熱狂的ファンなので、このレビューは記述が極めて不公平な可能性があります。
 あらかじめご理解ください。

EVE -burst error-」のストーリー的な続編にあたるミステリーアドベンチャー。前作の項でも書いたように、「EVE」というタイトルには、私は万感の想いを持っているわけですが。
 その続編が、まさかこれほどの腫れ物にされるとは……!

 前作のシナリオを書いた剣乃ゆきひろ氏が社を退社してしまっていたため、自然とシナリオライターは別の人になるのは仕方がないのです
 だからって、名作の呼び声高いソフトの続編のシナリオを書かせるのに、その前作ぐらいプレイさせてくれませんか。
 私が聞いた話によると、本作のシナリオライターさん、なんと前作をプレイしてないらしい!
 その時点で、既にクソゲーたることを約束されたも同然。しかも、このシナリオライターさんは幼稚園児なみに日本語が不自由な方でした。

 いろんな所で網を張ってたのは分かるんですが、その張り方がもうめちゃくちゃ。
 ストーリーは、爆弾魔の「SNAKE」、内閣調査室調査員「桐野杏子」の二人の主人公の視点を切り替えながら進めていきます。前作と同じ「マルチサイトシステム」ですが、前作を踏襲しているのは、ここまでです。
 追う者と追われる者の二人が主人公、と聞くと、そりゃもう緊張感のあるヒートヘイズを想像しそうですが、残念ながら緊張感は殆どありません。

 ……というのも、杏子はともかく、爆弾魔である「SNAKE」のキャラ設定がひどいというか、凄まじく浅いので、緊張感というものがつけようがないんです。
 思い切りネタバレですが、ぶっちゃけ「SNAKE」の正体は、「内閣調査室の桐野杏子の先輩調査員である見城陽一」なのですが、その「内閣調査室の調査員」にしては、「SNAKE」の行動は極めて安直で極めて無気力。
 まがりなりにも「内閣調査室の調査員」なんだから、モニカ(見知らぬ外国人)が好き勝手に部屋に出入りするのを防いだり、「ADONIS」(ネットを通して「SNAKE」を脅しているパソコンの中の熊)が部屋に仕掛けている盗聴器だのカメラだの、簡単に発見できると思うんですけど。
 別に私などは、「内閣調査室の調査員」みたいな特殊技能はありませんが、それでも見知らぬ女が勝手に家に出入りしているのを知ったら、真っ先に襲いかか 警察には届けるぞ。万一、警察には届けられなくても、「内閣調査室の調査員」みたいな特殊技能があれば、真っ先に部屋の防犯をしっかりしたりと、自己防衛の手段はいくらでもあります。
 しかし、「SNAKE」はそんなことを一切せず、モニカは好き勝手に部屋に出入りし続け、「ADONIS」の監視や脅しをほったらかしにし続け、「内閣調査室の調査員」なのに日がな一日街をブラブラしてるだけ。
 状況が異常に不自然で、こんな主人公が、まともなストーリーをつむげるわけがありません。

 杏子のほうは、「SNAKE」のはっちゃけぶりに比べたらいくぶんマシですが、やっぱりイルカの水槽で勝手に泳いでみたり(しかもここで「SNAKE」の正体暴露。シチュエーション最悪)、イルカ少女の理解不能な思考や、突然披露されるパソコン少年の常軌を逸したテクノロジーなど、こちらもあまりまともじゃありません。

 全編に散りばめられた、ミステリーとは思えない「ご都合主義」の嵐や、突然プレイヤーの操作を拒否して勝手に動き出す「SNAKE」など、もうシナリオとしてもゲームの作法としてもむちゃくちゃで、ついていくのは非常に困難です。
 このゲームに、「伏線」などという言葉はありません。

 どうも、シナリオライターも、途中から書いててわけがわかんなくなったんじゃないかなぁ、という気がヒシヒシとします。
 書きたいことはいっぱいあったんだけど、途中からライター自身がミスリーディングされたような感じ。普段、小説とかそういうものを読まない方なんじゃないかと思います。どうも、構成力が無いとかいう以前に、まともに脳を動かして書いているとは思えない箇所が次から次へと出てくるんですよね、これ。
「思いついたことを推敲もせずにそのまま書き連ねる」のって、物凄く楽なんですけど、同時に物語をメチャクチャにしてしまう諸刃の剣なんですが……。

 えー、もうさっさと結論にいきます。サターンのソフトなので、もう入手するのも簡単ではないかもしれませんが、核兵器クラスの地雷です。
 続編ソフトとして目も当てられないのはもちろん、単純なアドベンチャーとしても最悪の出来。
 あえて地雷を踏みたいという人は止めませんが、純真な方は遠くから見守りましょう。
 私は前作への敬意と義務感で二回ほどクリアしてから、データ面を焼いてフリスビーにしたあと、ムリヤリ割りました