式神の城2

2004年1月29日発売/タイトー/72点

 ある日、私はあるソフトの購入を目的とするショップ巡りのため、友人と待ち合わせた。
 場所は某漫画喫茶。暇つぶし&軽い腹ごしらえのため、30分ばかりそこで時間をつぶした後、目的のためにショップ巡りを開始する。
 そして、その日の晩、我が手にとられていたのはこの「式神の城2」であった……。

 ……えーとですね、この日、ホントは目的にしてたのは「キミキス」か「KOF MI2」のはずだったんですが、なぜだか最終的に私が選んだのは、両者と共通点がまるでない本作だったわけです(いや、「キミキス」と「KOF MI2」だって共通点ないけどさ)。
 原因は、待ち合わせ&暇つぶしに使った漫画喫茶。そこで「式神の城 ねじれた城編」(たかなぎ優名・著)を読んでしまったのですよ。
 いや、内容には少々ツッコまずにはいられませんでしたが、1巻のオマケ漫画(小夜の水着エプロン)と3巻のオマケ漫画(温泉慰安旅行)を見て、ゲームほっとけるかコノヤロウ!

 元々アーケードでも何回かプレイしてましたし、久し振りにシューティングを購入するのもいいかということで、案外すんなり購入決定と相成りました。

「式神の城」は、一作目がアルファ・システムのアーケード進出作として大ヒットを記録したシューティングゲーム。本作「2」を経て、現在は2006年2月発売の最新作「3」がアーケードで現役稼働中。
 ストーリーとキャラクター性を前面に押し出し、タイトルにもなっている「式神」を特殊攻撃として扱うことで、他作品とは一戦を画するシステムを持っているのが最大の特徴。スコア稼ぎも熱く、PS2版である本作にはネットランキングも用意されています。

 よく練られた設定と魅力的なキャラクターが織り成すドラマも、スコア稼ぎと同じくらい熱く、特に主人公・玖珂光太郎と結城小夜、ふみこ・オゼット・ヴァンシュタイン絡みの展開はほのぼのしてていい感じです。
 個人的に、登場するたびにおバカになっていくゆかりと、暑苦しいエイジャ兄弟が好き。
 ちなみに、アルファ・システムが製作するゲームは「高機動幻想ガンパレード・マーチ(以下GPM)」「絢爛舞踏祭」「幻世虚構 精霊機動弾」等、すべて同一の世界観を共有していて、非情に密接な関係にあります。
 本作に登場する操作キャラの一人、ニーギ・ゴージャスブルーは「GPM」からのゲスト・キャラクターであり(「GPM」では「新井木勇美」として登場。本名は「新井木(あらいぎ)」だが本作では「新井木(にいぎ)」と読ませている)、一人の男を探す目的で戦いますが、その男とは「GPM」の来須銀河(=「絢爛舞踏祭」のクリサリス・ミルヒ。同一人物)だったりします。
 また、セプテントリオンなど別の作品にも絡む重要な単語も多く、このあたり、知れば知るほど面白いんですけど、まだまだ公開されていない設定が多いのが残念なところ。
(ほかにも「GPM」の「田代香織」が「カオリ・サザーランド」という名前で「絢爛舞踏祭」に登場している)

 ただ。
 これは、ここでシューティングをレビューするたびに言ってるような気がするんですが、はっきり言って、難しいなんてモンじゃないです。
「これをゲームセンターでオールクリアした人って、なんか改造手術でも受けてたんじゃないのか?」と、明らかに失礼なことを考えてしまいそうです。
 8人いるキャラクターは、通常ショットやボム、式神攻撃にそれぞれ特徴があるんですが、特徴ありすぎてキャラによる難易度が全然違います。玖珂光太郎や金大中といったキャラはめっちゃめちゃ扱いやすいんですけど、作中最強設定のはずのふみこたんが扱いにくいのなんの。
 また、キャラの特性上、日向玄之丈での3-1のノーミスクリアが絶望的だったりと、「明らかに設計ミスだろこれ!」って箇所もちょこちょこ目に付きます。

 あと、カラーリングの選択の不親切さも極上。
 それはもう大盤振る舞いを絵に描いたように、破壊した敵機がコインをばら撒きまくるんですが、オレンジ色の敵弾がそれにまぎれて確認できねぇ!
 3Dで描かれた背景やキャラクターは文句なく綺麗なんですが、敵弾がその背景や演出エフェクトに隠れることが非常に多く、目をキリキリさせながらプレイしなきゃいけません。もともとミリ単位の弾除けが必要なゲームで、こりゃ酷いわ。

 またこのゲーム、難易度も変えられるんですが、正直、どこが変わっているのか余り解りません。敵が美味しくなってるんでしょうかね?
 イージーモードは3面までしかないし(エンディング無し)、ノーマルモードは難易度を変えても殆ど変化なし、あとあるのはそれ以上の難易度のエクストリームモード……。
 一応、4時間プレイすれば色々と設定をいじれる「エクストラ・オプション」が、10時間プレイするとコンティニューが無限になる「フリープレイ」が出現しますが、それまでは死んで死んで死に倒さないといけません。
 元々「パワーアップ」という概念がなく、爽快感が非常に薄い作品だけに、ストレスがたまりまくって正直、少々辛いです……。

 結果的に、(少々前知識は必要なものの)キャラクターやストーリーには洒落っ気もシリアスも効いており、先を見たくさせる展開もいい感じなのに、難易度がそれ以上にパンチが効きすぎてて、プレイヤーを選びまくりです。
 いや正直さ、キャラクターやストーリーを作ったスタッフ以外、このゲームで一般プレイヤーを取り込もうなんて、少しも思ってないだろ。ふみこたんとか言うくせに!

(2006.05.30)