法律事務所に採用された新米アルバイト司法官「桃田司」となり、10の事件を解決する裁判アドベンチャー。
面白いのが、システムとして「陪審員制度」を取り上げていること(全員一致ではなく多数決なんで、細かく言えば違うのかも)。日本でも2009年までに国民の反対無視で陪審制がスタートしますが、本作が発売されたのはちょうどこれについて騒がれていた時期で、話題のタイミングを上手く掴んだといえるでしょう…か?
(平成16年法律第63号「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」によれば、日本では正確には「裁判員」)
シンプルシリーズというと、過去作は「ラジコン」だったらホントにラジコン操縦するだけ、「囲碁」だったらホントに囲碁するだけ、というふうに、タイトル通り、と言うか、タイトル以上にシンプルな趣があったのですが、本作はきちんと楽しめるアドベンチャーゲームとして作ってあります。
様々な事件の被告にされた依頼者(もしくは、その周囲の人)の依頼を受け、桃田司を操って現場に出かけ、事件のあらましを調査、証拠を手に入れてからそれを裁判に持ち込み、「発言のタイミング」「異議申し立て」を上手く操って陪審員を納得させ、勝訴を勝ち取るのがゲームの目的。
それは司法官じゃなくて弁護士の仕事だろうと何度となくツッコミを入れそうになりましたが、この場合、裁判だけだとホントにシンプルになっちゃうので目をつむりましょう。
あと、警察ナニやってんだ。
基本的に内容はコミカルというか、悪く言うと子供向けアニメのノリ。とはいえ、かなり近未来的で面白い設定を持ってきており、擬人システムなどの設定は違う会社の作品である「THE 推理」などと繋がりを持たせてあって、違う方向からも楽しめるようになっています(「THE 推理」の設定と矛盾するとこもあるんだけど)。
登場人物の絵もかわいく、声優の演技も一級品で、(一部で)なにかと比較されがちな「逆転裁判」とはまた違った面白さがあると私は思います(知名度ではまるでかないませんが)。
シリアス要素はあまりありませんし、本格的に攻略しようと思うならボリューム不足・手応え不足を突っ込まれても仕方ありませんが、そこはそれ、シンプルシリーズと目を瞑って、大作RPGに疲れた時に、かるーい気持ちで手軽にプレイするのが、正しい楽しみ方というものではないでしょうか。
「同人ゲームじゃねぇのか、これ」というツッコミは禁句。
ちなみに、豆知識。
あまり知られていないかもしれませんが、日本でも実は1928年から1943年まで、裁判は陪審制でした。しかし制度維持のための費用が高額であったり、制度自体が国民に受け入れられず、1943年の法律制定をもってこの制度は廃止されています。
(2006.03.08)