プロ野球 JAPAN2001

2001年11月8日発売/コナミ/37点

 ゲーム業界で最も旬の短いのはスポーツゲーム。
 サッカーにしても野球にしても、前年の最新データを収録して発売しても、新シーズンも半ばに差し掛かればもう「過去の記録」というわけで、一年後には短すぎる命を終えてワゴンセールに山と積まれることに。
 そのあたりに、昔は美貌で浮名を流したものの、年老いて引退間近のホステスの哀愁を感じたり感じなかったり。

 そして、軒並み50円で売られていた「ウィニングイレブン」の山をどけて、30円で買ったのが本作「プロ野球 JAPAN2001」。
 シンプル極まりないというか、写実主義の極致のようなタイトルですね。他のジャンルと間違いようが無いから、分かりやすくていいんだけど。
 タイトルどおり、2000年のプロ野球のシーズンデータを突っ込んだ、2001年度版のポリゴン野球ゲーム。

 年も前のゲームだからか、収録されたデータの、まあ懐かしいこと! 谷がまだオリックスにいるし、新井どころか金本まで広島にいるし、ミンチーとかメイとかぺタジーニなんて懐かしい名前もちらほらで、懐かしさにほろりとするよりも先に、俺も年とったなあと半世紀ほど早く老人の心境に至ってみたり。

 データマニアとしては、野球の試合そっちのけで西暦2000年度の栄光なき天才たちの残した数字の山に釘付けなワケですが、これがまた本当に、信じられネェくらいに細かいデータを無闇に突っ込んであって、最初の10分ほどは興奮してみているものの、それ以降は閲覧するだけで体力を消費するというか、さすがの私も、スコアカード全部収録されては見る元気ありませんでした。

 肝腎の野球のほうですが、これがまたえらく投高打低。
 システムは意外にシンプルでわかりやすいし、やろうと思えば走塁も守備も全部オートにできるので、打者対投手の勝負に専念できるのはいいのですが、ヒットを打つこと自体に相当な慣れが必要。
 キャッチャーミットの位置で投球コースを予想し、ミートカーソルをぐりぐり動かして打つのですが、ミートカーソルと実際のヒッティング可能ゾーンが違うのか、真芯で捕らえたつもりでも空振り三振なんてザラ。
 もっとも、この傾向はCPUも平等なようで、少し投球に長じてくると、緊迫しすぎた投手戦が心ゆきすぎるほど楽しめます。

 実際、選手の能力データの画面はどっかで見たことがあると思ったら、「パワプロ」シリーズと同じかあ。
 製作チームも同じで、あっちは二頭身の可愛いキャラがウリですが、「パワプロ」をリアル頭身で作ろうと思い立ったら、こんな選手全員が宇宙猿人ゴリみたいな惑星野球のベースボーラーができちゃったんでしょうか?
 選手の挙動はよく研究してあり、誠意や熱意は間違いなく感じ取れるんですが、時間短縮のためか、投球後などは不自然にフォームが省略されて、宇宙猿人ゴリたちの動きはそこはかとなくロボット風味。
 成績の横に表示される顔写真と、ポリゴンの顔面造形があまりに違いすぎて、「写真の人がこのゴリの飼い主ですか?」などと思いでもしたら、本作を公認した日本野球機構に何されるか分からないので黙っておきます。

 実際のところ遊べるモードも最低限は揃っていて、ソツがないゲームではあります。
 が、ヒットを打つのに慣れがいるし、打ってもなぜかファインプレーに阻まれることが異様に多く、得点に繋がる機会が少ないので、爽快感はありません。
 いまさら定価で売ってる店もないだろうし、私は30円で買いましたんで、まあこれくらいなら十分かな、と。
 もしも遊ぶ機会があれば、なんとかフェティッシュな楽しみ方 を模索してください。

(2009.09.10)