DRIVING EMOTION TYPE-S

2000年3月30日発売/スクウェア/7点

『光学計算された光と影。そこから生み出される、映りこみのリアリズム。
“プレイステーション2”が可能にした美しい映像世界の中を走る、忠実に挙動をシミュレートされた「実車」。走りのカタルシスまで余すことなく伝える』

 パッケージ裏面にてこう断言する、エスケープ製作、スクウェア販売の意欲作です。

 いやね、確かにパッケージのこの売り文句に嘘はありません。レースゲームは普段殆どしない私ですが、画面が如何に綺麗かということはよく解ります。また、マニュアルの26ページには、黒地に赤字という読み辛い取り合わせですが、協力メーカーの社名がビッシリ並んでおり、製作者が車の挙動をよく研究したであろうことは解ります。

 が、唯一の欠点が、残念ながらこれらを全て台無しにしてしまいました。

 まともにまっすぐ走れねぇ!!

 兎に角、方向キーをちょっと左右に入れただけで、ハンドル限界まできってくれるもんだから、そうしたくないのに、車が回る回る回る!
 方向を変えようと逆方向に入れると、今度は逆に思いっきりハンドル回して、壁にズガーン!

 とにかくスピードが出ていようがいまいが、細かいハンドル調整というものが完全に不可能で、ハンドルを切っては壁にぶつかり、逆にきっては逆にぶつかり、全く真っ直ぐ走れません。どうやら、車の挙動は研究したものの、ドライバーの挙動は全く研究していない御様子。
 ……それとも、エスケープの人って、こういう運転する人しかいないの? なんて危険な会社だ……。

 マニュアルに見開きで『初心者のためのドライビング・テクニック』を解説するのは好感度大なんですが、自分達の作ったゲームが、初心者にそれを要求できるシロモノかどうか、もうちょっと冷静に見て欲しかったモノです。

 結局、他の宣伝文句は本当なのに、パッケージ裏に大きく刷られた『FEEL THE SPORTS DRIVING EMOTION!』という惹起が一番の嘘になってしまいましたね。

 ところで、このゲームを製作したエスケープ、もともと内紛が多いことで有名なメーカーなんですが、このゲームを製作した前後は特に大変だったみたいですね。このゲーム自体も『正体不明のブローカーが、違法に入手したプレステ2開発キットを韓国に持ち出して、現地で作った』なんて噂まであったんですけど……。ホントのところ、どうなの?

(2005.06.25)