世界の終焉を回避するために「方舟」で眠っていた少年ジーンは、「方舟」の崩壊という事態に巻き込まれ、地上で目覚める。
自分の見知らぬ姿と化した地上で、異形の者同士の戦争に巻き込まれて死に瀕したジーンは、1人の戦士によって「ウォーヘッド」という新たな存在として生まれ変わる。
だが、それは少年にとって新たな苦難の始まりにすぎなかった。
ともに「方舟」で眠っていたはずの姉アリーズの姿を求め、無我に戦場を駆け抜けていくうちに、少年はいつしか人としての枠組みをはるかに超えた進化を遂げていく……。
……とまあ、こういった壮大な設定や、劇中の大げさな語り口が全て空回りしている、何かと物悲しいアクションゲーム。
ゲーム中の設定のほとんどの要素にツッコミが可能、という点は新鮮でいいのですが、ますはストーリー。
「セントラルコード(※)が数万年おきに、古くなった世界をつくり直すために、それまでの古い世界を一度すべて破壊する」という「リ・ボーン(輪廻、世界の破滅)」による人類滅亡の危機。
その危機から逃れるために、人類は「方舟」と呼ばれる巨大空中施設をセントラルコードの傍に浮かべ、その中でコールドスリープすることで、リ・ボーンをやり過ごし、その後の来世界の到来を待っていた……。
※セントラルコード……この世界の空に浮かぶ小型の太陽のような物体で、「万物の礎」とされる。
……あのさ、セントラルコードが世界を作り直すってことがわかってるんだから、なんでわざわざその隣で眠る、なんてリスクを犯さなきゃならんのか。
「近くにいたらなんか痛い目にあいそうだな」くらいの危機感は無かったのかね? 案の定、セントラルコードからの衝撃で、人類が眠っていた「方舟」の殆どが墜落。
ちなみにこの「方舟計画」を立案したアルヴィン博士、方舟墜落後も滅亡回避の一策を練っているのですが、やっぱりリスクオンリーのロシアンルーレットのような作戦で、「こいつさえいなきゃ、別の方法で人類は危機を乗り越えられたのでは?」という疑問がすぐに浮かびます。
こういった、細かな「違和感」というか「ほころび」は、その後もあちこちに見受けられるので、ステージの合間合間にアリーズが大仰な語り口で語るストーリーも、なんとなく白けて聞こえてしまいます。
基本的な設定が凝っているだけに、残念。
で、さらに問題なのは、それらの設定の粗を、ゲーム部分で少しも取り戻そうとしてない点。
ぶっちゃけ、アクションゲームとしての良い部分が一つも見つからなかったので、残念な点だけをあげていきますが、
オテロショットや、隠しクリア条件によるスコアアップなど、ヤリコミを助長するような要素もあるにはありますが、残念ながら基本的な部分がかなりイカれているため、あまりやりこみたいとも思えません。
ぶっちゃけてしまうと、立派なクソゲーです。唯一、方舟崩壊後のアルヴィン博士の強烈なご尊顔は一見の価値がありますが、こういった設定に魅力を感じられなければ、無理をして手を出すゲームではありません。
(2010.11.06)