デジタルデビルサーガ アバタール・チューナー

2004年7月15日発売/アトラス/40点

 実は「女神転生」シリーズをプレイするのは、ファミコン版の元祖以来だったりします。もちろん記憶になんぞ残ってるはずもなく、悪魔合体と妙に色っぽいピクシーだけがかろうじて記憶の端にイメージとして残ってます。
 そんな中でプレイする久しぶりのシリーズ。最近は「ペルソナ」とか、システムだけ受け継いで「女神転生」の名前がシリーズから消えちゃったので、解らない人には解らないかも。本作は「デジタルデビルサーガ」で解っちゃうか。

 まず最初に言いたいのは、一本のシナリオを二本にぶった切った代物なら、最初にそう言えよ。
 本作は、長い一本のシナリオを「アバタールチューナー」「同2」と追っていく連作です。だから1だけでも2だけでも楽しめません。この辺、もうちょっとアナウンスがあっても良かったような気がします。
 おかげで、本作だけでは殆どの謎が残されたままです。ラストの伝言とか、ゲイルとエンジェルとか、楽園ニルヴァーナの謎とか。とかとかとかとか。
「こんな終わり方かよ!」といういツッコミは、懐かしの「アーク・ザ・ラッド」の再来。まぁ、アレの1に比べれば、プレイ時間は長いけどね。

 私的に女神転生シリーズの何が好きかって、非生物的で硬質的な人物や悪魔。特に敵キャラなんかはなかなかイカレたデザインが多くて大好きです。まさに女神転生でしか見れないデザイン。
 そのゲームでしか見れない強烈な個性があると、プレイヤーはぐいぐい引き込まれるものですが、このシリーズはそのへん大成功していると思います。最近は金子さんじゃなくて、その弟子の人が描いているようですが。

 で、そのモンスターが出てくる戦闘は、マントラとかシステム的には面白かったんだけど、エンカウント率&奇襲攻撃が多いのなんの! ダンジョンもかなり長いし、途中からちょっとかったるくなりましたね。戦略を間違うと高確率で全滅。幸い属性攻撃が強いので、うまいこと弱点をつけば楽になりますが、それを調べるのもまたかったるい(死)。
 また隠しボスの強さが半端じゃなくて、投げちゃったままです。RPG史上最強と言われているらしいですが、あながち誇張ではないかもな。セーブポイントでしかマントラが付け替えできないのも、面倒ったらない。
 更に、今回は自分で悪魔に変身するので、悪魔との会話も悪魔合体もありません。そのぶん人間の仲間が喋り捲りますが、悪魔と交渉ができない時点で、女神転生シリーズ、ということを忘れたほうがいいかもしれません。
 
 問題はストーリー。前述の戦闘と、この暗いストーリーについていければいいのですが、アトラスのRPGに慣れてないと、序盤で飽きちゃうかもしれません。感情というものへの葛藤がメインテーマなので仕方ないと言えばそうなんですが、なにせ最初のほうは誰一人として笑いませんし。
 ストーリーが進むたびに感情を取り戻していく様は、なかなか感動的ではあります。特にジナーナ。業を重ねるたびに人間味を取り戻していく、というのも皮肉な話だよなぁ。中盤以降、なにかと恥ずかしい場面が増えるので、そこまで耐えられれば、ストーリーも十分及第点かと。
 未完だけどな。

 好みが分かれるのは、他のゲームも同じ。ジャンクヤードとかの世界観は私は好きだし、音楽やアニメもけっこう綺麗です。後半の残酷描写は少し胸焼けがしましたが、それでも耐えられないレベルじゃありません。
 最初から前後編分割のストーリーであること、戦闘が少しかったるいこと、特に後半ダンジョンが殺人的に長いこと、等を覚悟しておけば、楽しめないゲームでもないと思います。

(2008.01.14)