SLGの主要ジャンルの中に「育成シミュレーション」というものがあります。
この筋の始祖である「プリンセス・メーカー」が出現して以降、「とりあえず育てられるものなら、生物だろうが機械だろうがドンと来い!」といった感じでとにかく無節操に進化を続け、ありとあらゆるものを哺乳瓶代わりのコントローラーでもって育てられるようになりました。
さて、本作「プロジェクトV6」も、そうした「育成シミュレーション」の一作です。もうタイトルでモロバレな感じがしますが、育てるのはなんと「V6」。
あなたはV6の敏腕マネージャーとして、彼らを大スターの道に導くのが目的。
V6といえば説明の必要はないかもしれませんが、ジャニーズ事務所所属の大人気ユニット。
1995年に「MUSIC FOR THE PEOPLE」でデビュー以降、音楽にドラマにバラエティにと活躍する六人組です。そんな彼らを、あなたの手で大スターへと導けるのです!
本作が発売された98年は、デビューから三年目。こういったゲームの主人公にするには、ちょうどいい時期だったのかもしれません。
さて、ここで唐突ですが、メンバーの誕生日を確認してみましょう。
坂本昌行(1971年7月24日)、長野博(1972年10月9日)、井ノ原快彦(1976年5月17日)、森田剛(1979年2月20日)、三宅健(1979年7月2日)、岡田准一(1980年11月18日)。
つまり、メンバーの半分が当時すでに20歳以上の大人(坂本に至っては27歳)。
そんな彼らを育てるという違和感を極力感じさせないためか、本作中に登場する彼らは、バリバリのアニメ絵。
まあ、確かに本作のターゲットといえば、10代〜20代の女性でしょうから、アニメ絵でも問題はない、というか、そちらの方が自然なのでしょう。
むしろ、ジャニーズファンでもないのにこんなゲームやってる私の方が不自然なくらいです。
森田剛の髪型と同じくらいに。
ゲーム自体は、育成SLGの基本に非常に忠実。一週間分のスケジュールを決めて、あとは結果まかせ。
ゲームの趣旨どおりのエンディングを目指すなら、ドラマや歌番組、演技レッスンなどを多めに入れておき、疲れていれば休暇を入れておけば大抵ばOKですが、そこはそれ。
「深夜のマニアックな音楽番組」とか「ゲーム誌のコメンテーター」などのアンダーグラウンドな仕事を沢山入れて、暗黒の世界に誘うことも可能です。
そうしてV6と彼らの将来を思うがままにいじれる分、やはりマネージャー業は耐える物なのだと痛感。彼らよりも目立つ行為は極力控え(マネージャーに雑誌インタビューを持ち掛けられたりする)、使いっ走りとしてメンバーの機嫌を伺います。
そんな厳しい社会経験を積んでいく中で、ラジオ番組のディレクターに「メンバーにすごい信頼されてるんだね。ラジオであんたの話をしてたよ」と言われたりとか、疲れきって辞表を提出した時に三宅健に「淋しくなっちゃうじゃん」とか引き止められれば、ちょっと嬉しくなってくるものです。
そりゃあ女性ファンなんかは卒倒ものなんじゃないでしょうか。
ターゲットが若い女性層ということもあってか難易度は低く、本格的なSLGを求める人には向きませんし、アイドルゲームの宿命か、ボイスの演技ははっきり言って大根の大安売りです。
しかし、「V6を心いくまでいじり倒してぇ!」とか思ってる人や、ネタゲーを求めている人にとっては、カッコウのゲームではないでしょうか?
(2006.05.22)