鉄拳6

2009年10月29日発売/バンダイナムコゲームス/64点

 表題は「6」ですが、アーケードで絶賛稼働中の新バージョン「鉄拳6 BLOODLINE REBELLION」の移植。
 鉄拳シリーズの伝統として、家庭用オンリーのオリジナル要素(今回は「シナリオキャンペーンモード」)の力の入れようには驚かされますが、そのオリジナル要素が、力が入っているわりにダメダメなところもいつもどおりです(やりたいことを全部入れようとして、逆に破綻しちゃういつものパターンです)。

 キャラクターの数はシリーズ最大で、レイジシステム(体力が減ると攻撃力が上がる)による逆転性と、バウンドコンボの開発が面白く、対戦は純粋に楽しめます。私のようなヘタレプレイヤーでも、それなりにコンボを決める爽快感を味わうことができます。
 当初はゲームにすらなってなかったオンラインも、修正パッチ導入以降はラグもあまり気にならなくなり、普通に対戦できるようになりました。
 キャラクターカスタマイズもアイテムや衣装が豊富で、一部のアイテムは装備することにより特殊技が追加されるなどの効果もあります。

 問題は、移植のさいに加えられた、アーケードになかった要素の全部。
 まず誰もが思うだろうけど、ルーレットはいらん。何の意味も無い(自分で止められない)わりに頻繁に発生し、本当に「ただ邪魔なだけ」。こんなもん入れるくらいなら、シナリオキャンペーンを完成させてほしかった。
 また、オートセーブが異常なくらい頻繁に入るのも閉口。いったい、なにをそんなの保存してるのか? そのわりに立ち位置もシナリオキャンペーンの難易度も保存してない。なんのためのセーブだよ?
 そして最大の問題、おまけの「キャンペーンモード」。いわゆる鉄拳の素材を贅沢に利用したアクションゲームなんだけど、シリーズの伝統として、おまけについているアクションゲームは極めて出来が悪い。これは技術の問題もあるが、基本的に開発者の思想の問題。
 バランスは崩壊してるし、敵の攻撃はいやらしいし、とにかく色んなものが邪魔になるし、やっててただストレスがたまるだけ。
 しかも悪いことに、今回は単純なおまけではなく、これをある程度進めないと、各キャラのストーリーモードがプレイできないという極悪仕様のため、クソゲーとわかっていながら嫌々プレイしなきゃならないというメーカー公認の拷問ハラスメントです。

 通常の対戦だけなら問題なく遊べるので、本作を家庭でプレイされるのなら、オンライン対戦のみに目的を絞って、家庭用のオリジナルモードは無視したほうが得策。
 まあ、鉄拳のコンシューマ版のオリジナル要素に期待するほうが、そもそもの間違いなのですが。

(2010.11.11)