パペットズー・ピロミィ

1996年2月16日発売/ヒューマン/93点

 このゲーム、知名度は殆どないかもしれませんが、歴史に埋没させるにはあまりにも惜しい作品です。無論、「良作」という意味ではなく、「怪作」という意味で。
 正直、開発者がどこにターゲットを定めていたのか、さっぱり解らないんですが、どうも幼児教育シミュレーションみたいなノリで出してみたら、立派な「電波ゲー」になってしまったというところらしいです。

 本作は「パペット」という動物を自由に「作り」、ワールドという世界に放して、その生態を観察するのが目的のゲームです。だから「人形パペット動物園ズー」なんですね。
 動物はいくつかの「パーツ」からなっており、頭と身体、両手両足と尾の五箇所に、好きな動物のパーツを、好きなように組み合わせることができます。

 段々とヤバげな空気が昇ってまいりました!

 いや、確かに、メーカーの目的どおりのプレイをしたら、ちゃんと「教育ゲーム」にもなるんですよ。一応。
 パンダや象、キリンやハムスターなど、可愛い……とは一概には言えませんが……動物たちのパーツを普通にくっつければ、まぁまぁ、常識の範囲内で想像可能な新生物を作ることが可能。
 可愛いものが作れるかどうかは、センスと悪ふざけの度合い次第ですが、本来のターゲットである小さな子供たちが、子供の想像力で好きなように組み合わせて好きなように観察するぶんには、まだ大丈夫です。
 ワールドに放した新生物には、観察するだけでなくエサを与えることも出来、うまく食べてくれるとその動物も満足してくれます。

 って、無駄な好奇心と無駄な想像力にあふれた私たち大人が、そんなハッピーエンドでこのワールドを終わらせるかよ!
 というわけで、段々とプレイ年齢が上がっていくたびに、作られていく「新生物」が明らかにヤバげな「クリーチャー」に変貌していくのも、本作の特徴です。

 さあ、裏「パペットズー」の開幕です。

 なにせ本作、犬猫キリンといった実在の動物のほかにも、架空のファンタジーアニマルから恐竜にいたるまで、ありとあらゆる「動物」のパーツを、無制限にくっつけることができます。
 だって、最初からなんの制限もなくゲームに入ってるんだもの。この裏「パペットズー」こそが本来の遊び方であり、メーカーが推奨する遊び方なのです。……というか、これらのパーツを入れちゃったから、電波ゲーになっちゃったんだろうけど。

 頭が犬で足がハムスターで手がブロントザウルスで……といったウチュー電波全開な新生物たちが、「ワールド」に次々と放たれます。つーかもう、立派なキメラ博覧会です。
 こんな発狂したキュビズムの画家がアナルにアヒル突き刺して足で書いたような世界を見たのは、「ランニング・ハイ」で、オムツ一丁の赤ちゃんが素足でハイハイのポーズのまま時速240kmでドリフトかますのを見て以来です。
 夢に出ます。

 しかも、「普通」に作った新生物なら、「ワールド」の中を元気に走る姿を見ることが出来るのですが、組み合わせが悪いと、ピクリとも動きません。トーテムポールと化したクリーチャー。
 死んでるのかと思って近づいてみると、なんとエサ食べました。満足マークが出ました。
 ザ・ワールド!! そして時は動き出す……。

 あああ、渡辺徹にナレーションさせて「プレヒストリックパーク番外編」としてNHK教育で放映してえ!

 本作、ゲームとして出来るのは、合成、放牧、観察、エサやりの四つのみで、自然と新生物の創造にプレイが偏ってしまうのは仕方のないところ。組み合わせのパターンは膨大にあるので、大人数でやると大爆笑できますが、一人で一時間もやってると高い確率でいつの間にかヤバイ笑顔を浮かべてます。
 危険です。まさに天然の超電波ゲー。とにかく大笑いしたい人にお勧めですが、操作性悪いし何より色々な意味で疲れます。ちょっと覚悟を極めてプレイしましょう。

(2008.01.14)