HEAVY RAIN 心の軋むとき

2010年2月18日発売/ソニー・コンピュータエンタテインメント/70点

 4人の主人公を操作して、連続誘拐事件の謎に迫っていくミステリーアドベンチャー。
 とにかく、操作方法からストーリーまで、何から何まで斬新&野心的なゲーム。この斬新さについて行けるか、そしてまともにツッコミを入れたらキリがないほどの「粗」に目をつむれるかどうかで、180度評価が変わるゲームです。

 まず移動方法からして斬新&厄介。
「左スティックで顔の向き、R2で顔の向き方向に移動」という操作には、最後まで慣れなかった。だって、行きたい方向に咄嗟に行けないんだもの。
 色んな場所で色んな操作を要求されるので飽きることは無いんだけど、この独特な基本操作のやりにくさのおかげでなかなか集中できなかった。
 また、カメラワークが場所によって固定されているため、操作する方向が頻繁に切り替わるのにも参った。私のような反射神経ゼロの人間にはかなり厳しいです。

 随所に盛り込まれているQTEは、難易度が三段階から選べ、緊張感があっていいのですが、似たような状況&バトルが多いので、最終的には作業になってしまう。ストーリーへの没入感(かなり無茶なとこもあるが)もあるだけに、そこは残念。

 そのストーリーはマルチエンディングなんですが、なによりも主人公が死んでもストーリーが続くというのが凄ぇ。
 ストーリー自体が穴だらけで、まったく破綻してしまっているため、論理的にミステリーを解決しようとするとコントローラーを投げつけたくなってきます。
 矛盾だのご都合主義だの、そんなレベルでは理解できないところが多いので、本格推理ものを期待するとかなり辛いです。最初からミステリーじゃなくて、サイコサスペンスだと割り切ってしまったほうが楽しめます。
(たまに「428」と比べてる人がいるけど、私は全然比較の対象にならんと思う)

 シナリオの進めかたは上手いし、要所々々の盛り上がりはかなりのもの。一つ一つのチャプターも短いので、気になる続きを次回に取っておいて、さっと盛り上がってさっとやめるのが一番いいのかなぁ。
 それでも、最後までたどり着いた大抵の人は「テメェが犯人かぁ!」と叫びたくなると思いますが。

 文字やアイコンが非常に小さく選択がしにくいとか、最後の最後で置いていかれてしまう感のあるシナリオなど、マイナスポイントも多いものの、ぐいぐい引き込まれるパワーは本物。
 トガリまくったこの魅力は、好き嫌いがはっきり分かれます。
 またパッチを当てないと、バグだらけで全然ゲームにならない点にも注意。
 もし買うのであれば、充分なリサーチをお勧めします。

 なお、日本語版もいい加減にエロいですが、海外版はものすごいことになってます。興味がある方はどうぞ。

(2010.11.10)