破壊王 キング・オブ・クラッシャー

1998年11月12日発売/ファブ/80点

「サラリーマン、壊しまくり」

 とにかくパッケージに張られたキャッチコピー、本当の意味で、これが本作の全てです。
 何がヤバイって、あらゆる意味でヤバイ本作ですが、何よりも製作スタッフが「出す前からヤバイと解っていた」と語っていることが一番ヤバイんじゃないかと。だって、どう見たって確信犯だよコレ!

 どこにでもいる普通の男、「 ぞう」という、確信犯にしてもナゲヤリなネーミング(あるいは、ナゲヤリさが確信犯を感じさせるネーミング)サラリーマンが本作の主人公。
 この司馬が、普通の人間から段々とモンスターへと変貌しながら、周囲のモノを完膚なきまでに破壊する、というのが本作の大筋の内容。

 なぜか消防車の玩具を破壊する子供のムービーの後ゲーム開始。ヘンな虫に刺された後、司馬は絶え間なく沸く怒りを破壊衝動で発散するようになります。
 さて、肝心のゲームですが、司馬がまだ人間の姿でいる序盤ステージは、プレイヤーのストレスがたまりまくり。だって、本当に破壊したいものが破壊できねえんだもの。
 本作には六種類のアクションがありますが、はっきり言って使うのはサマーソルトと回し蹴りのみで、どうしてもアクションは単調になりがち。また、自宅や会社は破壊できるけど、嫌味な上司や警官、やかましい野良犬等、動物は破壊できないようで、破壊王と名乗りながら、犬や警官から逃げる逃げる逃げる!
 自分の妻子は破壊(破戒)しちゃったのに!?
 今は亡き橋本真也が聞いたら、DDTをかけられて「破壊王」の名は剥奪だ!

 しかし、これがゲーム後半になると、ガラリと雰囲気が変わります。立派に巨大怪獣と化した司馬の前に広がるのは、それまでの壊しにくいステージと違い、ものが密集した実に破壊し甲斐のある内容に様変わり。
 この頃になると、炎が吐けるようになり、さながら破壊方法が「移動」になります。歩きながら国会議事堂とか東京タワーをどかどか破壊していく様は、まさしく「破壊のカタルシス」。
 最後は翼がはえて飛べるようになってから脈絡なく渡米、アメリカを破壊しつつ自由の女神と対決 どう見てもとってつけたようなエンディングと、製作スタッフの頭の中が一番破壊されてたんじゃないかと思える凄まじいストーリーのトビっぷりですが、スタッフロールの、電波ソングに合わせて延々と皿を割り続ける意味不明なムービーとか見てたら、どこまでが正気でどこまでがジョークなのかさっぱり解りません。

 ぶっちゃけ、作り自体はかなりチープです。ポリゴンは荒いし、画面効果はチャラいし、ストーリーの投げやりさは殆ど前代未聞(いきなりステージの開始時に人の家の庭で大の字になって寝ていたり、いきなり降ってきた赤ん坊をどうするかどうかでエンディングが変わるとかしますが、説明なんて一切ありません)。しかし、それでも私はこのゲームは面白いと思います。
 狙ったのか、たまたまそうなったのかどうかは解りませんが、前半、動きは遅いは破壊はしにくいはという究極にストレスがたまる内容を、後半の爽快感で一気に発散!
 ……まぁ、これらを“冗談”として笑えるかどうかで、好き嫌いははっきりと分かれるでしょうね。「わかるヤツだけ笑えばいい」という、すっぱりと割り切った作りが、私的に好印象であった、ということにしておいてください。

(2006.02.13)