10101 -WILL- The STARSHIP

1997年11月6日発売/サンテックジャパン/1.0101点

 プレステ史上最大の問題作「里見の謎」のサンテックジャパンが贈る、更なる大問題作。
 正気なのか、夢生!?
 マ、正気で「里見」を作れたからこそ、こういう石橋を叩き落として、知ってて渡って溺れるようなゲームも作れるんでしょうけどね。正気じゃなくて瘴気。
 大変良い傾向です。 ……すいません、私情です。

 パッケージを見ると、「里見の謎」と同じように「お勧めSFアドベンチャーRPG」シールが貼ってあります。これ、SCEがつけたわけでも販売店がつけたわけでもなく、サンテックジャパンが自分で勝手に貼ったもの
 この所業で罪は倍です。

 遥か未来、旧地球暦24xx年、すでにこの宇宙に地球という惑星は存在しない。地球人を祖先とする人類「ノア」は、スペースコロニーや宇宙ステーションに生活の場を移していた。
 だが、人口増加や自然環境の悪化から、「ノア」は新たに資源や生活可能環境を有する惑星を探す必要に迫られる。問題となるのは、「ノア」に敵対する存在「ケアス」。
 ケアスの本拠地壊滅のため、宇宙戦艦「ウィル」がその雄姿を現す!

 こういうストーリーを持つ「スターラスター」です。

 本作、石田彰、氷上恭子、飯塚真弓、飯島愛と、声優だけは無駄に豪華なんですが、反面、システムやバランスは完全に壊滅状態。

「里見の謎」は、シナリオでもキャラクターでもシステムでも、すべてにおいて伝説級の電波を含有していましたが、それでもクリアしようと思いさえすればクリアできるレベルではありました。内容に付いていけるかどうかはともかく。
 しかし、本作はそれすらも無理です。まったくゲームになっていないと断言しても、言い過ぎではありません。
 ファミコン並みのグラフィック、1ドットでも接触してたら絶対に避けられない隕石、フルボイスで罵倒の嵐を浴びせてくれる部下、なんの説明もしてないマニュアル、最悪の操作性&操舵性、メカニック担当のマルチニ・メカフェッチ(名前)……

 ジャンルは一応「RPG」になってますが、なにせ宇宙船ですから移動にはエネルギーが要ります。エネルギーを手に入れるには、敵であるケアスを倒さねばなりません。敵を探すには移動しなければならず、エネルギーを消費し……。なんだこの悪循環。
 しかも前述のとおり、1ドット単位で接触判定のある隕石にぶつかると、その特殊な操作性のおかげで脱出が非常に難しく、しかも止まっているだけでも宇宙船のエネルギー(HP)はどんどん減っていくため、宇宙の真ん中であっという間に死んでしまいます。真冬の雪山で遭難したって、雪崩に潰されるとかしない限り、もうちょっと生きられるぞ。

 一応、アイテムを集めてデータベースを完成させることが目的みたいですが、とてもじゃないけどそこまで精神力がもちません(アイテム鑑定の成功率も異様に低い)。
「里見の謎」は確かにクソゲーではありますが、それでもバカゲーとして愛される要素があったがゆえに伝説になりました。しかし、本作はRPGというジャンルから意欲的に逸脱してしまった結果、(笑える要素は確かにあるが)正真正銘のクソゲーになってしまっています。
 努力に努力を重ねて先に進んでも、(呆気にはとられるものの)それほど意外な展開が待っているわけでもなく、ここらが夢生さんの限界だったのかもしれません。

「里見の謎」のラスボス戦で歌を歌っていた島紘子さんは、本作でもテーマ曲「SPACE MAGIC」を歌っていますが、その歌唱力の進歩だけが本作の唯一の見せ場です。しかもそれを確認するには「里見の謎」も買わなければなりません。
 ゲームの中でも外でも悪循環の嵐。小澤夢生……罪深い男です。

 ところで、このタイトルってまさか、スクウェアが出してたパソゲー「WILL -The death trap 2-」に影響されたりします?

(2008.01.14)