シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件

1986年12月11日発売/トーワチキ/25点

 伝説のカルトメーカー・トーワチキの、新解釈シャーロック・ホームズです。
 シャーロック・ホームズでゲームと言えば、普通はアドベンチャーゲームを企画しそうなものだし、タイトルだけを見れば「神宮寺三郎」ばりの探偵アドベンチャーを想起してしまいそうですが。

 騙されてはいけません。あなたはすでに、トーワチキの罠に嵌っています。

 本作「伯爵令嬢誘拐事件」は、その予想に反してバリバリのアクション。それも、「バイオハザード」もびっくりの残虐アクションなのです。
 コナン・ドイル以降、最も血に染まったシャーロック・ホームズ、ここに爆誕!

 素直に横スクロールのアクションゲームにしときゃいいものを、「ホームズ」という題材なためか、へんにアドベンチャー要素を入れようとしたため、システムが破綻しまくり。
 技術的にボタンを分けることが無理だったのか、最初から「接触」=「殺害」という思想だったからかわかりませんが、「話す」ことと「攻撃」することのボタンが同じため、市民から情報を得るたびに、その市民を蹴り殺さなくてはなりません。
 聞くことを聞いたらあとはゴミ、と言わんばかりに謎の格闘技で市民を大量虐殺していく無法探偵ホームズ。
 たぶんこれが、ホームズが習得していたという東洋の謎の格闘技「バリツ」です。

 とにかく、そこらへんに湧き出る市民も悪の組織も見境なく「バリツ」で蹴り殺しまくり、情報とお金を巻き上げながら、誘拐された令嬢を捜索していきます。
 立派な強盗殺人です。

 依頼解決のためなら、人命などかかずらっておれぬ!という、どこぞの世紀末救世主的な、どこのヤクザ映画に出しても恥ずかしくないヴァイオレント・ホームズが、そこにはいるのでした。

 まぁ、実を言えば、原作を書いたコナン・ドイルもたまにとんでもない大ファウルをかましてくれていたので、ある意味、原作に忠実と言えば忠実なのかも。
 個人的に本作のモデルとして、NHKのドラマで出てた、えっらい顔色の悪いホームズを想起したんですが、そんなこと言ったらジェレミー・ブレッドに殴り殺されるでしょうか。