さて、「スーパーモンキー」といえば、現代では「スーパーモンキーボール」であり大人気ですが、20年前の「スーパーモンキー」といえば、ゲーマーにとってはサムライスピリッツも真っ青の修羅道の権化のようなキーワードだったようです。
タイトルに「元祖西遊記」と、その他の媒体の西遊記にケンカ売ってるようなタイトルですが、このゲームはそんなに甘くありません。
その全ての内容が、オート化が進む社会、就学しない現代の若者たち、そして動物化するポスト・モダンに対する、20年の過去からの強烈なアンチテーゼなのです!
……すいません、こうでも書かなきゃやってられないんです。
本作「元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険」は、そのタイトルからも解るとおり、中国四大奇書の一つ、「西遊記」を主題に据えたアクションRPGです。
シナリオ自体は、原作の「西遊記」をわりと忠実に踏襲しており、きちんと天竺を目指しますし、有名な金角・銀角等の魅力的なキャラクターも登場します。
しかし、そんなこと言ってるゲームスタートの初っ端から、まず死にます。
このゲーム、いろんなとこで凝縮するところを間違えてるんですが、一番肝心なところで「旅の面白さ」ではなく「旅の辛さ」のみを全面的に凝縮。
まず、フィールド上の移動速度が異様に遅いことが違和感を感じさせますが、更にフィールド上ではなんのコマンドも命令も出来ず、ただ歩くことしか出来ないことが更に不安にさせてくれます。
三蔵法師一行も、人間+妖怪というパーティーながら生物ですので、食わなきゃ生きていけません。もちろんそんなとこまでリアルにフィーチャー! 一定間隔で行われる「食事」の時に食料と水がないと「飢餓状態」になり、どんどん体力が減っていきます。
水が必要なキャラと食料が必要なキャラが分かれているのが幸いといえば幸いですが、どちらもすぐになくなります。異様に広いマップを、異様に遅い速度で歩き、いらいらしながら昔のホームレスよろしく民家を訪れて食料を恵んでもらう日々。
あれ? 私、なんのために冒険してるんだっけ?
いや、よく考えろ。私の仕事はこんなことではないはずだ。私の使命はもっと崇高なものだったはず。そのためには、まず生き残らねばならぬ。
そういや、目の前に美味しそうな豚と河童と猿が
……失礼しました。少々入れ込んでしまったようです。河童は意外と美味しかったです。
このように、フィールドを歩くだけでもはや苦痛と化す旅ですが、本作の更に困った点は戦闘がアクションであるということ。
自分は悟空しか操作できない(あとのキャラは援護専門)うえに、戦闘中は時間がフィールド上の四倍で流れるという極悪設定。仲間キャラは何の目的もなく動き回るだけなのですぐに死んでしまうし、時間の流れが速いので、飢餓状態中だと、鬼のような速度で体力がなくなっていきます。
更に、とりあえず敵を全滅させるしか、戦闘から抜ける方法がありません。 ヒィィィッ!
このゲーム、当時はクリアできただけで勇者扱いだったような気がします。
では最後に、このゲームを有名にしてしまった二大要素、「クソさ」と並ぶもう片輪、「プログラム中の隠しメッセージ」について。
このゲーム、プログラムの中に、ゲームデザイナー氏の「魂の叫び」としか表現しようのない隠しメッセージがあり、これが発見されたときは、凄まじい反響を巻き起こしました。
一部、当サイトでは掲載できない表現がありますので、已む無く伏字にしますが、それ以外はあえて全文載せます。ゲーム開発者の魂を感じてください。
「
デザイナーなか●ま かおる。1960アイチケン トヨカワ市うまれ。26才。...おま●こ.なめてぇーよぅ
エッチする女ノ子がほしいチツちゃん、ク●ちゃん、スキ!スキ!
」
…………………………………………。
あれから年、もう妻子ある身と思われる、現在歳のなか●まかおる氏の願いは、かなったのでしょうか……。
(なお、「えりかとさとるの夢冒険」の隠しメッセージは、普通のゲームプレイ後に、裏技で見ることが出来たので、「公開が前提」ということで全文載せましたが、本文は元より「プログラム中の隠しメッセージ」であり、普通のプレイでは見ることが出来ない「非公開が前提」なシロモノなので、名前は伏字にしました。ご理解下さい。)
(2006.08.12)