光GENJI ローラーパニック

1989年3月20日発売/ポニーキャニオン/30点

 まぁですね、昔の大抵のキャラクター・ゲームや芸能人ゲームというものは、大抵はファン以外には本当にどうでもいいストーリーが続き、どうでもいいエンディングを迎えるものなのですが、この「光GENJI ローラーパニック」は、あらゆる意味でその「どうでもよさ」の頂点を極めた一品。

 ゲームの主役が「光GENJI」ってことで、購買者の対象は明らかに女性だと思うんですが、そのわりにタイトル画面で「剣の舞」に乗ってポーズを決めて整列する彼等の顔は髪型で判断という、「BOYS BE…」を思わせるあんまりな仕様。


髪型どころか、右側の二人、クローン人間じゃねぇか!

 元々ディスクシステムのソフトということで、女性がこのゲームの為だけに金銭を消費するにはややハードルが高いと思われますが、それ以上に光GENJIのメンバーの壊れっぷりが気持ちよすぎて、違う方向に違う人種が大満足。

 ゲームをスタートすると、

「ボクたちのローラースケートがぬすまれた。
スケートをとりもどさないかぎり、このまちで
コンサートをひらくことはできない。だれか、
ボクたちのスケートをとりかえしてくれ」

 と、文字通りお手上げ状態で光GENJIがファンに懇願。
 予備くらい事務所に用意してもらえ!とか、新しいの事務所に買ってもらえ!とか、当たり前のことをこういうゲームにツッコンでいたら、日が暮れます。
 きっと、吉本興業の芸人さんのように、給料の殆どを事務所に吸い上げられながら、ローラースケート一個片手に全国をドサまわりさせられてたんだね、と勝手な脳内妄想を展開しながら、共に街で犯人捜査をする光GENJIのメンバーを、ビシッと指名。

 捜査の行動は非常に簡単。とにかく、片っ端からビルに入り、人に話を聞いて犯人を追い詰めます。
 とはいえ、光GENJIのメンバーは基本的に人工無能も真っ青のトンチキぶりを全開。
 メンバーのセリフも行動も、聞き込みの質問の内容もそれに対する回答も、全部が全部、宇宙連合とかスペースヒューマンからありがたいメッセージを受け取っているようにしか思えません。
 そんなトチ狂った聞き込みを、一人あたま約150回×メンバー全員7人分スケートを取り戻すまで繰り返さなきゃいけないのは、もうファンでも苦行です。きっと。
 恐らく、軽くおバカな会話をさせることで、ファンに「光GENJI」は親しみやすい存在なんだ、という印象を与えたかったのかもしれませんが、どうやったってこのゲームで感じ取れる印象は、「光GENJI」=「危険人物」。

 そのくせ犯人は妙に素直で、なんの伏線もなく自供するもんだから、余計に腹立つ!

 光GENJIのデビュー時の「超新星からのメッセージ」ってキャッチコピーは、「宇宙からの電波」って意味だったんでしょうか。
 …そのまんまじゃん。

 挙句にエンディングはオープニングの使いまわしで、スタッフロールすら無し。
 こんなにどうでもよく、こんなにがっくりくるゲームも稀です。

(2006.08.22)