DISASTER DAY OF CRISIS

2008年9月25日発売/任天堂/62点

 止むことを知らない敵の攻撃、次々と襲いくる自然災害!
 テロ組織STORMに誘拐されたリサを救うため、極限の環境下にあるアメリカを生き残れ!
 Wiiリモコンをフル活用したステージ制のアクションです。Wiiでは珍しいジャンルであるだけに、発売前の期待度はなかなかのものでした。

 ……が、いざプレイしてみると、良い意味でも悪い意味でも期待を裏切ってくれたな、という感じ。
 まず、大災害&テロ組織を相手に大立ち回りをやらかすシナリオ……の、はずなんですが、劇中ではそうとは思えぬほど、ご都合主義&ベッタベタなお約束の連続で、緊迫どころか、大笑いできます。
 脱出、救出、銃撃戦、カーチェイスと、ハリウッド映画にありがちな要素を全部詰め込んだ豪華仕様なんですが、予想できる内容まで完全移植。
 壊れている車をブン殴って動かし、テロ組織や自然災害にTシャツ一枚で立ち向かう、頼もしすぎる我らが主人公レイ。最初にストーリーを斜め読みしていると、そういう趣旨のゲームであるとは、誰も気付かないでしょう。
 というか、当初に企画をOKしたときに、こういうシナリオが上がってくるとは、会社の上役も思わなかったと思います。

 ガンシューティングは、ほぼそのまま「タイムクライシス」で、慣れていれば問題なし。
 武器の種類はそれなりにあり、主人公の成長要素もあるのですが、敵の攻撃は単調&馬鹿で、こちらのヘッドショットがわりと簡単なので、それを極めてしまうと急に難易度が下がってしまうのが残念。
 コンボの繋ぎ方や、隠しボーナスの発見などのやりこみ要素もあるので、もうちょっと深みがあっても良かった気もします。

 本作の一番の問題点はカーアクション。
 嵐の中や流れ出る溶岩を避けながらのカーチェイスの迫力は素晴らしいものの、その迫力を体感するための操作や、その結果として起こりうる車の挙動が、かなり厳しいことになってます。
 リモコン横もちで、本物のハンドルよろしく傾けて運転するんですけど、どうにもこうにも思ったように動いてくれず、車の反応は「DRIVING EMOTION TYPE-S」なもので、「不自然×不自然=破壊力」の公式で、色々ともうとんでもないことに。
 しかもテロップでいらん注意をやかましくかましてくれるもので、減速すれば万事OKなところで「減速するな!」などと言われて、猛スピードで突っ込んで死亡。
 もう、特殊部隊どころか開発者まで例外なく敵だと認識。サーチ・アンド・デストロイ! デストロイ・ゼム・オール!

 グラフィックは良くもなければ悪くもなく。
 Wiiでは珍しいジャンルだけに、大目に見てしまいがちですが、頑張っているところと手を抜いているところがちょっとあからさまに分かれちゃったかな、という印象。
 Wiiという機体の限界もあり、PS3やXbox360レベルのものを期待するのも酷かも知れませんが、火山の噴火などの災害シーンや主要キャラはちゃんと書き込まれているので、ゲーム中はあまり気になりません。

 本作は、良くも悪くもB級のノリで、シリアスな外観とは裏腹に、酒を飲んでツッコミを入れながらプレイするには最適な一本。
 ヤリコミ要素も豊富にされており、こういうノリについていけて、Wii独特の疲れる操作に耐えられる体力がある前提で、お勧めできます。