2010ストリートファイター

1990年8月8日発売/カプコン/60点

「ストリートファイター」といえば、格闘ゲームに大金字塔を打ち立てたシリーズの一作目。
 実はこのシリーズ、一作目と二作目の間には、数々のエピソードがありました。
 一作目が出た当時は、後に「2」が大ブームになるとは誰も予想できない、まあそこそこのヒットでした。カプコン開発者のほうも、「ストリートファイター」の続編として最初に開発していたのはなんと後の「ファイナルファイト」。「ストリートファイター'89」という名前で最初発表されていた「ファイナルファイト」は、後に開発者が「やはりこれはストリートファイターではない」と、題名を変えて発売。
 それから二年後、「ストリートファイター」の名を受け継いだ名作が対戦格闘ゲームの金字塔としてアーケードに出現するわけです。

 ところが、その「ストリートファイター」の遺伝子は、ひっそりと家庭用ゲーム機のほうにも受け継がれていました。「ストリートファイター'89」が「ファイナルファイト」と名前を変えたことに納得しきれない製作スタッフが、新たに家庭用で開発を進めていた……か、どうかは知りませんが、アーケードに「ストリートファイター2」が登場する約一年前には、この「ストリートファイター」シリーズの真の二作目、横スクロールアクションゲーム、「2010 ストリートファイター」が、既に世の中に生み出されていたのです。

 まあジャンルが違うので、「対戦格闘」の「ストリートファイター」「同2」とは比較できないのですが、横スクロールアクションとしても難易度が凄まじく高め。
 少し画面に比べてキャラが小さいような気がしますが、背景やデモグラフィックはよく描きこまれており、主人公のサイボーグ刑事ケインもうねうねとよく動きます。
 本作は主人公のアクションに非常に力を入れているのも特徴。10種類を越えるそれらをプレイヤーに使わせたかったのか、特殊アクション(特にフリップジャンプ)を完璧に使いこなせないとクリアできないという鬼仕様。

 その代わり、というかそれに合わせて、というか、とにかくステージ数が豊富。次から次へと短い面が連続して現れ、最後はボス戦できっちり締めてます。そのテンポの良さは、数あるアクションゲームの中でも間違いなく出色のデキでしょう。
 80%のプレイヤーは、間違いなくそこに到達するまでにゲーム売ってると思うけどさ。
 それほど、このゲームは難しいです。最悪の場合、一面の最初から何をして良いか解らず死体の山を築くことになります。
 また、ランダムの要素が強く、パターン化できないのも考え物。よく言えば「飽きない」、けど悪く言えば「毎回死ぬ原因が違う」ということ。

 ゲームの開発を手がけたのは「ヒットラーの復活」や「大魔界村」を手がけた面々だけあって、良質のゲームなのは言わずもがななのですが、アクション性やグラフィックと共に難易度まで100倍パワーアップしてしまったことで、客離れの早さも100倍になってしまったような気がします。

 そういえばこのゲーム、後に「ストリートファイター2」で人気キャラとなるケン・マスターズが、「1」から25年後の姿、という設定で登場しているのですが、知っている人いるかな?

(2006.08.22)