さて、どこの世界にも注目をあつめる人気者という存在はいるものですが、人気者のなにが一番大変かって、それは人気者であり続けることなんだそうですな。
現在のお笑いの世界を見ていればよくわかりますが、去年テレビに出まくってたお笑い芸人が、今年に入ったとたんに全く見なくなった、なんてことはザラ。漫才ではなくコント、特に一発ギャグで一気に売れた芸人などは、売れ方が大きい反面、減価償却のスピードもフルバーニアンで、その存在自体が一発ギャグになってしまうこともしばしば。
そんなわけで、人気者の世界も、いつ若手に蹴落とされるか分からない緊張感に満ち満ちているようですが、なにもそれは芸能の世界に限ったことではなく、栄枯盛衰の激しいゲーム業界にも、そういう世界は存在します。
特に、格闘ゲームで一時代を築いたカプコンのキャラクターの血の気の多さは、業界でもトップクラス。
ミュータントだろうが、宇宙人だろうが、他社のゲームキャラクターだろうが、アニメキャラクターだろうが、とりあえず相手が人気者と見るや、ケンカを売らずにはおれない体質のようです。
そして本作は、そんなカプコンの格闘ゲームに登場する人気キャラクターが、合法的に他社の人気者を血祭りに上げるために作られた「VS.」シリーズの最新作。
今回のターゲットは、子供向け人気アニメで御馴染みの「タツノコプロ」だぁ。うえっへっ(以下、不適切発言のため削除)
さて、本作は毎回、豪華なメンバーがキラ星の如く勢ぞろいすることで有名なパーティーゲーム。
タツノコ側からの参戦は、
と、確かに豪華なんですが、鴉以外は30代以下(キャラによっては40代以下)置いてきぼりの面々。
特にヤッターマンなんかは、2008年に放送されたリメイク版ではなく、40年前の元祖版を基礎にしており、本気で30代〜40代を取り込もうとしたガッツが感じられます。
カプコン側の参戦は、いつものメンバーなんで省略。もうリュウも春麗もモリガンも飽きた。
ラスボスに「
同じシリーズの「マーヴル vs. カプコン」や「カプコン vs.SNK」に比べ、圧倒的にキャラクターが少ないのも不満点だなぁ。半分くらいしかいません。
格闘ゲームといっても、本作は二人でタッグを組み自由に交代しながら戦う、自由度の高いシステムを採用しています。演出も連続技もド派手。他のゲームに比べたらダメージもケタが違います。
例えば「KOF11」なんかでは、最強の「リーダー必殺技」でも威力(設定数値)は60前後ですが、このゲームでは、しゃがみ弱キックを当てただけで1000万ダメージくらいすぐ行きます。強力な連続技になると、4億〜5億ダメージは当たり前というはっちゃけぶりで、もうバケモノ同士のドツキあいです。
カプコン側のキャラクターもいつの間にかすっかりミュータント性能に馴染んじゃってますが、これだけ順応性が高くないと、生死のかかる戦場では生き残っていけないのです。
うわー、オレ、デビルマンになっちゃったよー(棒読み)。
どっちかというと、格闘ゲームというよりもアクションゲームに近い感覚で、キャラクターバランスなどという言葉はありません。好き嫌いは極端に分かれそうな気がしますね。
鴉とリュウあたりが最強で、身体がデカすぎて他のキャラとタッグを組めないライタンとPTXがブッチギリのドンケツ。
肝心のデキのほうなんですが、ゲームを置いている店舗によって、プレイ感覚がえらい違います。というのも、(私の感覚だけなのかもしれませんが)リュウの足刀のように、相手を画面はしに叩きつけて跳ね返らせる効果のある技の「跳ね返し距離」が、4:3のディスプレイと16:9のディスプレイで違うような気がするんですよ。
以前のヒット作「ストリートファイター4」でも、4:3と16:9の両方に中途半端に対応させてしまったために、一部の店舗から困惑されてしまったカプコンですが、まだまだ上手い対応策が確立されていないのでしょうか? 早期の解決を希望したいもの。
アーケード版とWii版の発売日を至近に設定してしまったため、かえってアーケード版の導入が減ってしまうなど、販売戦略の失敗もあり(そもそもゲームのデキが微妙という話もあるが)残念ながらあまり評価は高くありません。
前述のとおり、シリーズの伝統でバランスは悪いし、ポリゴンで作られたキャラクターは、2Dでは「ブレイブルー」、3Dでは「鉄拳6」や「バーチャファイター5R」の足元にも及ばないデキで、「豪快に焼いてみたけど味が悪い動物の丸焼き」のような有様。
アニメや過去作で、あれだけ豪快にパンチラしまくった白鳥のジュンやロールちゃんのスカートがちらりともめくれず、結果的にドロンジョ様が一番エロいという絶望的な状況に陥ってしまっている現在、カプコンとタツノコプロの両社様におかれましては、まだ護るべきなにかをお持ちでいらっしゃいますでしょうか?
(2009.02.01)