MELTY BLOOD -ACTRESS AGAIN-

2009年稼動開始/エコールソフトウェア/84点

 TYPE-MOONの同人ADV「月姫」を原作とする格闘ゲームシリーズのアーケード第二弾(Ver.Bなどのバージョン違いは除く)。
 このシリーズは既に独自のストーリーを展開しており、「月姫」の要素は脇役的なもので、別の作品と言ってもよいのですが、やっぱり「月姫」を知っていたほうが楽しめるのは確か。

 前作から、設定のみの重要キャラクターだった「楯の騎士」リーズバイフェ・ストリンドヴァリ、「月姫」のラスボスの一人で「月姫の裸ワイシャツ(男)」ことロア(ミハイル・ロア・バルダムヨォン)に二人を新キャラに加え、更に三つのモードが選択できるようになり、それにあわせて既存キャラにも新技が大量追加され、キャラによっては戦法が大幅に変化しました。

 まあ、やってることは相変わらず「浮かせて浮かせてポイ」なんだけど。

 とにかく、繋ごうと思えばどんな技でも連続で繋がるし、二段ジャンプ、空中ダッシュと、もう空中連続技でナブり殺せと言わんばかりの攻撃的なシステムで、
 浮かせ技 (ジャンプ)中攻撃 強攻撃 (二段ジャンプ)強攻撃 (空中ダッシュ)強攻撃(or 空中投げ)
 と、空中で面白いくらいに連続技が成立する上、ダウン回避に失敗したりすると、また起き上がりに浮かせ技を重ねられて空中へ、そして以下繰り返し。試合展開がすさまじく速いので、油断しているとあっという間に死亡。
 もちろん、地上での立ち回りのみでも十分戦えますが、本作の真髄を味わっているとはいえません。

 演出面では、「楯の騎士」ことリーズバイフェがいい味出しまくり。
 深い設定を持つ本作は、同人時代から変わらず戦闘前の演出が凝りまくっているのですが、既に死亡している人物たちを一堂に会させるために用意された設定が無理やりすぎて笑えますが。
 意外な組み合わせが意外に関連していたり(七夜と白レン、リーズバイフェと猫アルクなど。全員色物なのは気のせいか)「月姫」ファンとしては、この独自路線がたまりません。
 あと、白レンの垢抜けっぷりにびっくり。
 まさかアーケードの格闘ゲームでカニ鍋の食卓シーンが見られるとは思いませんでした。

 他の格闘ゲームと並ぶと、かなりキャラが小さく感じるのは仕方ないのかなぁ。
 確かに、元が同人ゲーではあるんですが、既にアーケードでも家庭用でも何作も展開しているシリーズですので、大幅な書き換えがあってもいいとは思うのですが。

(そういえばこのゲーム、水橋かおり、南央美、三石琴乃、夏樹リオ、柚木涼香、野島健児、増谷康紀、中田譲冶と、声優陣が(私的に)スゲェ豪華。
 最初から商業用として立てられた企画なら分かるんですが、同人ゲームとして作られたときから既にこの面子を揃えていて、「どんだけ金かけて同人やってんだ」と驚いたものです。
 でも規模の上では「東方プロジェクト」のほうが上なんでしょうか。当たり前のように主題歌がついてるソフトも多いし、最近の同人は凄いね)

 このシリーズ、同人での第一作目以降、PC同人改定版が「リ・アクト」、アーケードでの第一弾が「アクト・カデンツァ」、そして本作が「アクトレス・アゲイン」というわけで、全部「アクト」に掛けてあります。
 こうなると続編のタイトルが気になりますが、間違っても
「MELTY BLOOD 悪徳商人」
とか
「MELTY BLOOD 灰汁取りカレー地獄」
とかいうタイトルにならないことを祈ります。

(後に出た新作は「アクトレスアゲイン・カレントコード」でした)

(2009.06.30)