超兄貴

1992年12月25日発売/日本コンピュータシステム/94点

 ああ兄貴ィッ!!!! うっ。

 PCエンジンには、R-TYPEをはじめ記憶に残る名作シューティングがいくつもあります。
 だからって、一番記憶に残るゲームがコレっていうのも、なんだかな。

 記憶に残るゲームと言うものは、大抵オーラを放っているものですが、本作もしかり。それはもう、題名からして、におってきそうなほど強烈なオーラを放っています。

 なにせ「兄貴」です。しかも「」です。ジャンルは(自称)「筋肉なシューティングゲーム」です。
 説明書なんて見開き4ページのみという実に男らしい仕様です。男なら身体でぶつかって来い! プレイする前からすでにそう挑戦されているようであります。
 男であれば、これは避けて通るわけにはいきません。

 大銀河ボディービルコンテスト10連覇のビルダー星帝王の不安は、母星のプロテインが底をつきはじめていること。
『筋肉こそ最高の美徳』という帝王は、近隣の惑星に無差別進攻しプロテイン採掘プラントの建設に着手してしまった。
 危機感を覚えた天界の韋駄天と弁天は平和のために出撃、ビルダー軍の撃滅に乗り出した……。

 ええもう、ストーリーだけで私は妊娠してしまいそうです。
 プロテインって採掘するものだったのか!という目から鱗の新事実と、筋肉と兄貴の乱れ舞う狂乱のオープニングムービーを目の当たりしながらも、驚愕と陶酔でフラフラ。
 兄貴、天才っているもんだな。俺、こんな設定、考えつかねぇよ……。

 既に心地よい敗北感(なんだそりゃ)に浸りながらゲームスタート!

 イロモノ系シューティングの一つの究極地点と言える本作、意外と言えば意外ですが、シューティングゲームとしては非常に骨太。元々、製作者が名作シューティング「ジノーグ」を開発した人で、下地は充分。
 自機である兄貴イダテンと美女ベンテンは、ボタンを押すだけで連射が可能、タメ攻撃も可能で、イダテンは(この後「超兄貴」シリーズの代名詞となった)「メンズビーム」を、イダテンは「スプラッシュビーム」を発射することが出来ます。
(ちなみにメサイヤの広報によると、「メンズビーム」は「ドピュッ」と発射するものなんだそうです)

 他のシリーズとは違い、本作は「メンズビーム」が連射可能なので、オプションのアドンとサムソンの使い方に慣れてくると、あとは弾除けを極めればなんとかなるんですが。
 ま、それでもけっこう難しいんだけどね。

 そういった、「ある意味完成された」システムの中にぎゅっと詰め込まれたのは、とにかく筋肉と兄貴!
 ああね、もう敵キャラのセンスが尋常じゃないのよ。水の代わりにたくさんの兄貴が詰め込まれた50mプールに放り込まれたような感覚?
 半漁人だのスイマーだのボディービルダーだの色々出てくるけど、みんな例外なくマッチョでテッカテカ。これらが綺麗なグラフィックでウネウネと動くもんだから、ああもう、

 なんて言うか、日本語の限界というものを切々と感じております。見てみなきゃわかんないよ、この異常な世界は。
 ま一番濃いのは間違いなく、自機オプションのアドンとサムソン。ポージングを決めながら自機(イダテン)の周囲を旋回する姿はそれだけで異次元な感覚ですが、頭に開いた穴からメンズビームを発射し、敵弾に当りすぎて死んでいく時は「アニキ…もう駄目だ!」と喋りながら墜落。

 ごめん、オレのほうがもうダメだ。

 描き込まれたグラフィックといい、徹底して追及されたメンズなセンスといい、太い男性の声で延々と歌い続ける異様で素晴らしいBGMといい、それでいて完成されたシューティング部分といい、ある意味、間違いなく究極のゲームです。
 恐らく、聞いたことがあるだけでプレイしたことのない人の想像を、遥か宇宙まで突き抜けてます。
 ある程度のバカは許容できる人は、覚悟の上で是非プレイしてみましょう。責任はとりませんけど。

(2006.08.22)