幻想水滸伝3
ブラボー! おお、ブラボー!。
…すいません、しょっぱなから意味不明な掴みですが、幻想水滸伝3です。
時代的に密接な繋がりのある幻想シリーズですが、「3」が「2」の15年後、「4」が「1」の150年前。「3」は「4」から数えて168年後(で、いいのかな?)ということで、この二作の間に直接的な時代の繋がりはドラスティックなまでになく、とりあえず「歴史が解らなくてどうしよう!」と、逆説的に悶えることはなさそうです。「2」をやってないことで、より直接的に悶えましたが、それは後述。つーか、まともに考えて、こっちの方が明らかに問題でしたケド。
さて、本作を一言で言い表すなら、ずばり「微妙な名作」。
え、ずばりじゃない?
確かに、RPGとしてのボリュームは一品だし、ストーリーも読ませるし、バトルにも戦略があり、おまけ要素も充実しています。なのに、肝心なところで一本抜けているというか、細々とした不満点が、名作じゃい!と断言したいところでぽんと肩を叩いてしまうのです。
…なんか、4の時も同じようなこと書いた気がするんだけど、ひょっとして既視感?
主人公は一人ではなく、初期三人+α。その複数人の主人公が複数の視線から一本のストーリーを追う、トリニティサイト・システム(「EVE -burst error-」でいうところの「マルチサイト・システム」)というスタイル。これが、本作最大の特徴。
そして、「微妙」な理由その壱。
ストーリー自体は、けっこう燃えます。
舞台は動乱の大陸。4では「罰の紋章」以外殆ど物語に絡んでこなかった「27の真の紋章」が山ほど出てきて、その歴史と所有者を巡る攻防が、巨大な動乱というビッグスケールで熱く語られます。また、ヒューゴ、クリス、ゲドという、立場も年齢も全く違うそれぞれの主人公のエピソードには、物語の中心に絡むしっかりとした「背骨」があり、ともすれば冗長になりがちな物語を、ぐいぐいと読ませてくれます。
…が。
この「トリニティサイト・システム」、着眼点としては非常にいいと思うんですが、どうにもそれをストーリー上で上手く消化しきれてません。
ところどころ力技で押し切る強引な展開があり、無駄に時間のかかるバトルや集団戦闘も絡んで、ちょーっとテンポが悪いです。
また、別々に操作していても大筋のストーリーは一本の筈なんですが、主人公同士のストーリーが絡むところでは、ちょっとずつズレがあるような気がして、プレイしながら「?」と思うこともありました。
最後にルックのエンディングを加えたことで、きっちり物語を完結させているだけに、ちょっと残念です。
あと、これは余談ですが、本作をプレイするなら、絶対に「2」を先にプレイしておくべきです。「3」→「4」と違い、「2」→「3」は完全に物語として繋がっているので、「2」を知らないと、味方キャラクターの設定や、ストーリー後半で重要なキャラクターがこれでもかと語るタームの山が理解できず、お楽しみ度半減です。
さて、幻想水滸伝といえば、なんと言っても108人の「仲間」集め。
本作では、本拠地メンバー+戦闘要員、実質108人以上(うち、獣数匹)を、自分の城に集めることが出来ます。
で、これが「微妙」な理由その弐。
三人の主人公と、彼らを囲む人間模様は、本当に魅力的です。ヒューゴの成長を見守るジョー軍曹とフーバー、固い絆で結ばれたゼクセンの六騎士など、20人にもなろうかというこの人数で、それぞれに個性と役割をしっかり持たせ、物語を盛り上げています。個人的には、ゲド編の、キッツい仕事をシニカルなユーモアで乗り越えていく傭兵隊の面々が好きです。
…が。
脇役の中には、「なんでこの人が108星なの?」と疑問に思いたくなるような面々も数人います。
これらの人たちのエピソード、たぶん物語の大筋を考えた人とは違う人が書いたのでしょうけど、もう少し考えてから書こうよ。ケンジやギョームなど、実社会では絶対にお友達になりたくない面子が、大手を振って、僕らの誘いを待ってるゼ!
また、これはゲーム全体を通してもいえることなのですが、彼らのイベントは特に、無駄に長くて不必要に疲れます(特に、少年探偵は勘弁してくれ)。とはいえ、意地でも全員集めないと、最終的なエンディングが迎えられないので、こう背後から首をキュッ♥と絞めたくなる衝動とロープを必死で留め、頬の筋肉だけで笑顔を作って、彼らのイベントに付き合ってあげましょう。
こうして、人間は大切な何かを失っていくのでしょうか。
あとさ、やっぱラスボス役のルック・セラ・ユーバー(+アルベルト)を108星に入れるのは無理があるって。第六主人公への伏線だとしても、それまでの物語からの必然性があまり感じられないし、納得もし辛いし。確かに、第六主人公=ルックのストーリーは、物語を重厚にする素晴らしい演出なのだが…。
あと、ラスト直前になって重要人物が電車の駆け込み乗車の如く一気に仲間入りって言うのも、ちょっとな、と。二人ほど死後の人がいるのはまぁ、ストーリー的な展開で仕方なく、それぞれに感動できるエピソードなのですが、必ずしも彼らが108星でなきゃいけないという蓋然性は無いと思うのですが(まぁ、生きてる人でも、ケンジやギョームが108星入りしていることを思えば、なんでもありなのかな、と思えなくもありません。過去にも人はもちろん、龍のほかにユニコーンやクラーケンなどもいましたし)。
「3」の108星では、エミリーとキャシーとシャロン萌え。小さいほうがどうやって存在してるのかわかりませんが、ビッキーとチビッキーでも可。やっぱ、外伝もしなきゃいけないのか…ッッ。
システム面での話もしておくと、これがまた「微妙」な理由、その参。
正直、カメラワークが操作できないのは痛いです。ダンジョンとかで、キャラクターの正面を見ながら、ずんずんこっちに迫られても。
あと、文字が気持ち小さくて、慣れるまでは読みづらいかな、と。
えーと、褒めてんのか貶してんのか解らなくなったので、純粋に面白いと思ったところを上げてみます。
まず、立ち上げてすぐ見ることのできるオープニング・ムービーが、素晴らしい。
そして、幻想水滸伝シリーズお馴染みの「本拠地システム」。4では巨大船でしたが、3では基本に忠実に古城です。ここには108星以外にも様々な人種が集まり、多くの施設が建つ事になり、当然お遊び要素もあるのですが、中でもお勧めは、ナディールの「劇場」。
「マッチ売りの少女」や「オオカミ少年」「ロミオとジュリエット」などの脚本に合わせて108星から役者を選び、舞台を見ることになります。
ヒューゴやネイ、クィーンやシャボンといった名優の演技を安心してみるのもいいですが、やはりお勧めは「お笑い」系役者の皆様。
真面目で美人だが演技は悲惨なクリス(生来の音痴)、いやいや舞台に上がるため全然演技をしないゲド、役名完全無視で本名プレイオンリーのフレッド、いるだけでジャンルがホラーになるランディス&アイク、観客もプレイヤーもエジプティアン・ワールドに引きずり込むホルテス7世、むせ返るくらい華麗なオーギュスタン、『天然ボケ』という言葉すら生ぬるい超危険な演技を見せるビッキー、そして犬、龍、虫、アヒルなどなど。明らかに何か間違えてる人もいますが。つーか、最初の二人はゲームの主人公なんですが、わりと酷い扱いです。
もちろん観客からはブーイングの嵐で、時にはセットが壊れたりもしますが、プレイヤーは間違いなく笑えます。この手の込みようを、別のところに生かせなかったかと悔やみながらも、笑ってしまいます。
さて、4でもそうでしたが、良いところも悪いところも非常に微妙、という感のある本作。色々書きましたが(つーか、褒めてるとは思えない文章ですが)、総じて言うと安定感はあります。
ただゲームを読み進める、というタイプの人にはお勧めしませんが、普通にプレイするなら充分楽しめるのではないでしょうか。…バグはあるけどね。

ジャンル:RPG
メーカー:コナミ
発売日:2002/07/11
価格:¥6800
KEEF'sPOINT:79
お勧め度:B