DRAGON QUEST 8

※今回、プレイしてみて本当に腹が立ったので、筆致もかなりキツめです。そういうのが苦手な人はスルーしてください。

 ああ、神よ! スクウェア・エニックスは民に試練を与えられた!!
 …っつーわけで、正真正銘の300万本RPG(by飯野氏)、ドラクエ[です。
 まず言わせてください。このゲーム、色んな意味でツラいです。何がツラいって、ゲームやりながら自分の正気を保つのが一番ツラいです。
 Zのとこでも書きましたが、どうも私はV以降のドラクエはあまり印象に残っていないわけで、この[にも大して期待してませんでした。正直、購入した理由も敵キャラにパペットマペットがいるのと、ちょうど中古で手頃な値段になってたから。
 …が、実際にプレイしてみて、その認識を改めました。
 新世紀のドラクエ、脅威の地雷化!!
 いや正直、どっからツッコミを入れていいやら…。


 まずプレイ直後に、最初の試練が来ます。
 LEVEL5の高い技術力で製作された人物のポリゴン・モデルは、キャラクターデザインを手がける鳥山明氏のそれを忠実に再現。ということは、登場人物がほぼ全員、忠実にドラゴンボール・キャラと事態を引き起こしているわけで。
 いや、主人公クラスの重要人物だと、(ドラゴンボールの孫悟空が、そうとわからぬようにコスプレをした、という程度に)個性というものがあるんだけど、大衆モブキャラになると、ホントにもう個性という言葉をアルファ・ケンタウリの彼方あたりまでポイしちゃってます。大人の男性の髪型はほぼ「坊ちゃん刈りの刈り上げ」と「ロンゲ」の二種類だけ(あとハゲ)。顔も種類が少なく、クール系のキャラはみんなべジータ、子供はみんなトランクス(幼)、商人のおっさんはみんなヤナックです。とにかく「体型、髪型、表情ともにごく尋常」という男性キャラが殆どいないので、「この世界の男性は、一人残らず性関係の犯罪に手を染めているのではないか」という妄想を思わず抱いてしまいそうです。
 それなら、女性キャラはどうかというと、これまた忠実にDBのブルマと、ムーンブルクの王女の成長過程をなぞってます。髪型はさすがに何種類かありますが、顔のパーツは殆ど同じ。なんか、「わざとやっとらんか?」と思えるくらいです。

 他のRPGであれば、プレイヤーキャラクターであれノンプレイヤーキャラクターであれ、何人かは魅力的なキャラクターがいて、キャラに萌えとか感じることもあるんですが、このゲームにそんなキャラは一人もいません。いや、これほどまでキャラ萌え要素を徹底して排除されると、逆にすがすがしいです。ひょっとしたら、社長あたりから「プレイヤーを萌えさせるな!」とかきついお達しでもあったんでしょうか。まぁ、個人的に「鳥山キャラに萌えろ!」というのもちょっと無理な話ではありますが…。
 ついでに言うと、全般的にデザインがダサい!!
 「バタくさい」とかそういう意味でなく、正真正銘の意味でダサいと感じます。「ドラクエというのはそういうものなんだ」と言われれば、確かにそーなんだろーけどさぁ…。FFX-2をやった直後にやると、旧スクウェアのセンスと努力に頭が下がること請け合いです。…それとも、あっちが普通じゃないのでしょうか。


 そして、第二の試練…というほど、これは試練でもないのですが、戦闘です。
 最初は決してバランスが悪いわけじゃないんだけど、どうもバトル後にもらえる経験値もお金の金額も少ないように思えます。ので、後々、レベル上げやお金稼ぎにもくもくと戦闘を繰り返すことに。
 シナリオが進めば進むほど、敵の強さが雪だるま式にあがっていくし、全体的に物価も高いので、けっこう苦労します。経験値はデフォルト設定の倍、お金は4倍くらいがちょうどいいと思うんだけど(私がヌル化しちゃってますか?)。
 どっちかっていうと、世界各地の神話その他説話を、故意に馬鹿にしくさったとしか思えないモンスターのネーミング&デザインに耐えることのほうが試練でしょうか。「究極的にセンスがダサい」というのは本作を貫くキーワードですが、わざわざそういうものにまで手を出してダサくしてしまうクリエイター魂に、マイナス方面の拍手を送りたいと思ったり思わなかったり。


 そして、第三にして最大の試練。シナリオ。
 RPGはもちろん、他の大概のジャンルでも(最近はアクションでも)、ゲームの核となるシナリオ・ストーリーは非常に大事です。いかにしてプレイヤーを引き込み、いかにして驚かせ、時には怒らせ、時には泣かせ笑わせるか。そのためにシナリオライターは血肉を削ってプロットを切り、自分や(目の肥えた)見えぬプレイヤーたちと戦うわけですが。
 このゲームやってて、その認識は無残にも覆ることに。

 最近のシナリオライターって、こんなシナリオでお金もらえるの!!??

 今時、小学生がツクールで製作したRPGでもこんな、大ご都合主義&極度のお使いシナリオ見れんぞ…。
 兎に角、褒められたところは冗談抜きに一箇所も無いんですが、一番凄いのが、物語に絡んでくる人物の大多数が極度の馬鹿かただのキ●ガイだということ。数少ないまともな人物といえばチェルス、メディ女史、グラッドぐらいですがこのうち二人は、虐げられた挙句に殺害されます。

 また、最近のRPGの悪役がよく持っている、小難しい理想とか複雑な過去とかを、このゲームの悪役が欠片も持っていないのも大きな特徴。やってることは大きいけど、思考は完全に幼児レベル。
 どうも七賢者の過去と繋がりにそれを持たせようとした形跡はあるのですが、上手く消化し切れているとは思えません。おかげで酷く不自然な箇所がそこかしこにあります。そのせいか、物語は大きなふくらみを見せることもなく、ひたすら一般庶民の陰惨な部分を見せることに終始。
 あと気になったのは、どうにもシナリオライターさんは、富豪や権力者という人たちに強烈な偏見や劣等感があるのか、彼らの扱いは必要以上に酷いです。いや、誰が誰に対してどう思おうと勝手だけど、それをゲームという媒体を通して、人に押し付けるような書き方をするのはどうかと思います。

 これ以上ないほど単純な物語の中で、露骨にプレイ時間稼ぎなほとんど無意味なお使いの連続。「お約束とはいえ、もうちょっと自分らしさを加えるとか考えなかったのか」といいたくなるべッタベタのお約束の数々。それに疲弊したプレイヤーの精神をマイナス方向に掻き毟るように、人間の暗い部分を、ネチネチネチネチと執拗に見せられるイベント。正直クリアしても、誰一人救われた気がしません。
 また、「はっ、おっさん、いつのまに!?」とか、挟まなくてもいい時に限って、挟まなくてもいいものをわざわざ挟むので、腹立ち具合はハイスピードマックス。

 これでまた、それなりにボリュームがあればなんとか取り繕う余地があるんですが、正直、内容は薄いです。ためしに、おまけ要素を全部無視してストーリーを進めたら、13時間弱でクリアできました。同人ソフト並みのボリュームを、おまけ要素とネームバリューで誤魔化した、とまぁ、そんなところでしょうか。
 最後の最後に、エンディングのエピソードは最初から最後までパクリだし。

 加えてまた、登場人物のネーミングがうそ臭いほどダサいので、もう感情移入度は完全にゼロ。延々とイヤなストーリーが続いていく中で、プレイヤーのすることは×ボタンを連打することだけ。親から教育というものをされたことがないのか、と勘繰りたくなるような知能の低い子供らの話具合など、もう会話なんてするだけで腹が立ちそうです。たまに選択肢が出てきて、ボタン連打のせいで自動的に否定的な答えになってしまいますが、貴様の好感度なぞいらぬわ!! (このゲームに好感度の概念はないですが)
 私も何本もRPGをプレイしましたが、これほど精神的に拒絶反応が出たシナリオは初めてです。たぶん、本作のシナリオライターさんは、ドルマゲスの悪行とかラプソーンの復活とかは、本当はどうでもいいのではないでしょうか? それを言い訳に、自分の嫌いな人種への毒を吐きまくるのが目的のシナリオなのではないか…どうも、そう穿った見方をしてしまうんだよね、これやってたら。
 だってこれ、正直、仮にもクリエイターを名乗る人が、お金をとって遊んでもらうのを目的に書いたとは思えません。完全に幼稚園児の発想です。それを、高い技術力を持つスタッフと、売れると解っているタイトルで実現した、壮大なお遊戯の時間。普通の大人に対する思いついたからってなんでもやればいいというものじゃないという、強烈な反面教師です。
 全国のシナリオライター志望の若者よ、希望を持て! 最近の大手は、こんなシナリオでもゲームにしてくれるぞ!と、声を大にして言いたくなってきます。


 で、結論。
 わざわざ、貴重な時間とお金を割いてまでやるゲームでは、決してありません。
 モンスターバトルロードや錬金釜などおまけ要素もあるにはありますが、超低レベルなシナリオの失点を挽回できるような4番バッターにはなりえません。

 いみじくも「同社」の作品となったファイナルファンタジーシリーズは、バランスがどうとかシナリオがどうとか演出が飛ばせないとか言われながらも、そこかしこに「美学」「こだわり」が感じられます。しかし、ここ二、三作のドラゴンクエスト本編には、そんなものは微塵も感じられません。極端に言えば、製作サイドが「T」の頃からなにも変わっていないと思えて仕方ないのです。にも関わらず、業界の技術は闇雲に上がっていくもんだから、結果としてこのような作品が練り上げられてしまう。もちろん、これらが独特の「センス」だと言われれば、否定のしようもありませんが。

 と、まぁ、これが400万本近く売れてしまった現在、薦めるも薦めないもないのですが、「買ってどうだった?」と聞かれれば、私は間違いなくこう応えます。
「損した!」と。


ジャンル:RPG
メーカー:スクウェア・エニックス
発売日:2004/11/27
価格:¥9240
KEEF'sPOINT:0
お勧め度:D