幻想水滸伝5

 こんなに苦しいのなら……、こんなに悲しいのなら、幻水の続編などいらぬ!!

 決して大作というわけでもなく、大人気作品というわけでもないものの、安定してスマッシュヒットを飛ばしていた幻想水滸伝の第五作目。
 ファンの間では「4」の評価が最も低いようですが、私の感想では、本作のシナリオやシステムに比べれば、「4」のほうが4000倍ほどマシです。4が5に劣っているのは、シナリオの尺だけです。

 えーと、本作はちゃんとした流通作品ですよね? 同人ゲームの間違いじゃないよね?
 なんというか、幻水らしさがないわけじゃないんだけど、あまりにも稚拙なストーリーや、陵辱としか言いようの無い過去作品のキャラクターやエピソードの扱いなど、あまりまともなRPGじゃありません。

 既に名作と名高い幻水1、2を製作したスタッフが退社しているため、同じスタッフでシリーズを続けることができないのは仕方ないのですが、それにしたって、もうちょっとまともなプロデューサーくらいつれてこれるだろう。

 もう、なにもかもが不自然すぎて、なにが自然なのか全くわからない世界ですが、味方も敵もみんなアホ。……すいません、お世辞にも頭がよいようには見えません。
 名君として君臨していたらしいアルシュタート女王も、頭の切れる悪役であるらしいギゼル・ゴドウィン氏も、少なくともゲームをやっている限りでは、それらしい箇所が全くないのです。
 街一つを滅ぼせるほどの破壊力を秘めた紋章を所持していながら、貴族のやりたい放題に政治をさせていたアルシュタート。度量の広さを見せようとしていたらしいが、かえって統率力の無さを見せていただけのフェリド。少しは政治的野心を隠せよと言いたくなるサルム。頭よさそうな発言を繰り返しながら、ひたすら自滅していくだけのギゼル……。

 主要人物でこうなんですから、脇役のトンデモ度は、もうホッタラカシの範馬勇次郎のごとき暴れっぷり。
 そもそも、主人公である王子の仲間になる107人のうち、王子の目的・理念に共感したうえで仲間に加わる宿星が殆どいないという時点で、もう幻水じゃねぇ。
 仲間になるキャラは、殆どが個人的な目的を持っていて、王子の傍に居たほうが都合がいいから仲間になってます。このコウモリ野郎どもが!
 目的を同じくしているわけではないので(目的を同じくしていても)、みんなやる気など皆無です。マクシミリアン騎士を名乗りながら、連れが戦死したからという理由でイザベルが離脱してしまったときは、開いた口が塞がりませんでした。

 また、シリーズ間の繋がりの強い幻想水滸伝ですが、この「5」における過去作品登場キャラの扱いは、目を覆わんばかりの惨状です。
 必要以上のゲオルグ美化に始まり、ローレライの「強い男が好き」というのはそういう意味じゃねーだろとか(声の演技が下手なので、破壊力二倍)、ただの色ボケにされてしまったジーン(代々銀髪のはずなのに、主人公が銀髪というだけで意味なくピンク髪にされた。でも主人公の妹は茶髪)、レツオウとシュンミンもイメージが違うし……。
 一言でいってしまうのなら、極めて出来が悪い同人的解釈。幻想水滸伝3までで作られた世界のイメージを、完膚なきまでに失神KO。そもそもファレナにあったのは、「ファレナの女王国」であって、「ファレナ女王国」ではなかったのでは。
 本作の広報を兼ねていたらしいアートディレクター・キング氏の、同人感性丸出しの、極めて気持ち悪い発言の数々など、これを過去作レイプと言わずして、なんと言うのか。
 いや、同人が悪いとは思わないけど、プロが一次創作の続編でそれをやっちゃまずいでしょ? という所作の塊です。

 ストーリーについては言及しません。
 登場人物の決断とか素行とかが、いちいちプレイヤー(少なくとも私の)思考の斜め上を行ってて、微妙に腹立ちます。
 捕虜のガレオンが空気もタイミングも読まずに一大事を告げたあと、なぜか堂々と脱走しようとしていたりとか、まったく脈絡の不明なラハルの女装とか、こっちもなかなかトンデモです。

 まぁ、どんなことが起ころうと、リオンの超厚顔&超デタラメさの前には、全てが霞んでしまいますけどね。
(そういえば、余談ですが、このゲームの公式ガイドブックの、数多いキャラクター紹介の殆どに「美少女」「美女」「美少年」「美男子」といった、容姿を賞賛する言葉が並んでいます。ある意味、すごいです。二足歩行のビーバーに「美少女」とつけられても理解できない私が無粋なのでしょうか


 このシリーズ、「幻想水滸伝3」以降は、「4」「5」と、過去編が続いています。理由は簡単。
 当時の主要スタッフが居ない今、「3」でルックがみたという「灰色の未来」の解釈と責任を、誰も取りたがらない & 誰も書けないから。
 正直、今のスタッフが作るのなら、もう続編はいらないなぁ……。キング氏はやる気満々だったけど……。  

DATA

ジャンル:
RPG
メーカー:
コナミ
発売日:
2006/02/23
価格:
¥7329
KEEF'sPOINT:
3
お勧め度:
D