エターナル・アルカディア

 さて、セガが送る空飛ぶRPG、エターナル・アルカディアです。
 このゲーム、とにかく評価するのが非常に難しい! なにせ、いいところも悪いところも極端で、どっちかを紹介すると、ベタ褒めかクソゲーぶった切りか、と、どっちかになっちゃうのです。

 まず、いいところの紹介から。
 これはもう、ストーリーの完成度に尽きます。とにかく、世界観からキャラクター、シナリオに至るまで、もう、悶えたくなるほど魅力的♪
 文字通りの「大冒険活劇」であり、主人公ヴァイスの、ただひたすらに前向きなカッコ良さは言うに及ばず、二人のヒロイン、アイカとファイナが可愛いったらありません♪ 敵方も、ビゴロやベレーザ、デ・ロッコなど、抑えるべきところは抑えてて、安心して見ていられます。
 グラフィックもかなり頑張ってるし。

 ヴァイスが、いくら青の空賊とはいえ、ほいほいと人の事を信じすぎちゃったり、敵方の人間の人間関係がやたらとリアルなのに、ヴァイスとアイカ、ファイナの三角関係とかは殆ど言及されてないなど、ちょっと気になるところはあったけども…。

 特に、個人的にはもっとヴァイスと二人のヒロインの恋愛模様を掘り下げて欲しかった。エンディングの時点でも、なんか無難に「友人以上、恋人未満」で終ってるみたいなので…。だめかな?(^_^;)。

 まぁ、そんな小さなあやは置いといても、このシナリオは本当にイイ(∀)b!! まず泣けます!
 これ、小さいようでかなり重要なファクター。特に、ドラクマとモービスの一連のイベントは、もう涙の嵐。激しくネタバレになるので、詳しくは書かないけど、とにかく見てください。
 あえて暴論を覚悟で言います。このイベントのラストシーンで泣けないヤツはゲーマーじゃねぇ。

 そして、このシナリオで本当に凄いところは、安易に神だの悪魔などに頼らずに、そのイベントの殆どを「人間関係」で書ききっているところ。
 確かに「ギガス」だの「煌術」だの剣呑なものも出てくるけど、それはあくまで一部か、戦闘システムに依存したもの。要するに、「オプション」的な扱いなのです。
 とにかく、最初から最後まで、あらゆる人間の様々な感情が渦巻いて、それがストーリーを構成していく。正直な話、私はここまで宗教色を感じさせない「ファンタジーRPG」は久しぶりにやりました。ひょっとしたら、小さいようで物凄く大きな特徴かも知れません。

 シナリオ以外のところでは、船(というか、空中船)を使った空の旅の爽快感が、また素晴らしい。
 ちょーっと移動が遅いような気もしますが、なんとも言えない「浮遊感」というか、物凄く雄大な雲海の中を移動していくさまは、文字通りの「冒険」です。
 行く先々でカッコよく事件を解決し、各地に眠る「発見物」を冒険の末に発見する。徐々に仲間も増えていき、ヴァイスは勇敢さの中にも男気をはらみ、男として成長していく。そしていつしか、子供の頃からの目標であった父・ダインをも超える空賊への道をひた走る。
 そう、男なら誰しも子供の頃に夢見た「大冒険活劇」が、時も世界も飛び越え、そのままの形でこのゲームで体験できるのです。
 素晴らしい!

 …と、褒めちぎってみたところで、今度は悪いところの紹介。

 はっきり言って、前述したところ以外は、全て平均以下です。特に、ほぼ全てのイベントの中核を占める「戦闘」が、システムごと破綻しているのは痛い!
 このゲーム独特のシステムに「ガッツ」というものがあるんですが、要するに、「全キャラ共有のMP」と考えてくだされば結構です。
 これ、魔法である「煌術」を使うのにも、キャラ特有の「必殺技」を使うのにも必要なのですが、戦闘が始まったときは、殆どありません。自分でせっせと溜めなきゃいけないんです。だから、戦闘が長引く長引く。
 せっかく必殺技を覚えても、好きなときに使えないのでは、意味がない…。
 また、ガッツの殆どを必殺技に使うため、「煌術」を戦闘中に使う機会なんてまずありません。気が付いてみれば、回復はアイテムでやってるし。

 まぁ、そういうシステムを大目に見ても、この戦闘バランスは酷いです。テストプレイを本当にやったのか、かなり怪しい。
 主人公のヴァイスは通常攻撃と必殺技のバランスがとれたキャラ、らしいのですが、肝心の通常攻撃が、まったくあたりません。とにかく、どの敵に対してもスカスカスカスカはずしまくってくれます。必殺技も消費ガッツが多くて、戦闘の序盤は使う機会が殆どありません。当たればデカイんだけど…。
 昔、近鉄にいたブライアントみたいなヤツです。

 また、途中で仲間になるドラクマのおっさんも、ストーリー上、エラそーなことを散々ほざいてくれますが、戦闘ではほとんど役に立ちません。ヴァイスと二人ではずし放題。
 二人のヒロイン、アイカとファイナは、きっちりと当ててくれますが、女の子のためか、いかんせん攻撃力が低いので、有効度は低め。煌術も前述のガッツと、弱点システムのおかげで使いどころが難しく、ファイナの特技も空回り。
 もう序盤からガッツじゃなくて、ストレスがMAXマーラ状態。エンカウント率の異常な高さも相まって、中盤にギルダーがパーティーに入るまで、かなり「愛」を試されます。

 そして、このゲームの売りでもある「砲撃戦」。
 これは、自分の船に乗ったまま、その船と同じくらい巨大な生物(もしくは、敵の船)と、大砲や煌術、特殊能力をぶっ放しあう、という、書くだけなら非常に豪快な空中戦です。…書くだけならね。
 と言うのも、これがまた非常にかったるい。
 確かに、綺麗なフルポリゴンで描かれた敵艦や巨大生物は、凄くかっこいいんだけど、いちいち一回行動するたびに、その相手や自分の船が空中を動くさまを長時間(15秒くらい)描写してくれるので、無駄な時間が異常に多いのです。正直な話、ターンの最初にパーティーのメンバーの行動を全部決めたら、5分くらいはテレビのチャンネルを変えて他の番組を見てたほうが、よほど退屈しのぎになります(5分立ってもターンが終ってないこともある)。

 というわけで、いいところも悪いところも極端なこのゲーム。ストーリーに没入できて、少々のバランスの悪さなんて気にならない!なんて人は、やってみて絶対に損はしないでしょう。GC版はピアストルとか、また魅力的なキャラクターが増えてるしね。


ジャンル:RPG
メーカー:セガ
発売日:2000/10/05
価格:¥6800
KEEF'sPOINT:79
お勧め度;C